1929–2009 · アメリカ
「都市農業の父」/都市計画家・TUAN(都市農業ネットワーク)創設者
『都市農業』という分野そのものに、名前と枠組みを与えた人。
ジャック・スミットはハーバード大学で都市計画を学び、南アジア・アフリカ・中東など世界各地の開発計画に携わった都市計画家である。ボゴタ、カラチ、ジャカルタ、ポルトープランスなどの都市計画、さらにバングラデシュやタンザニアの難民キャンプでのプロジェクトも手がけるなかで、都市の内部で営まれる食料生産の重要性を早くから見抜いていた。
1992年に都市農業ネットワーク(TUAN: The Urban Agriculture Network)を設立。そして1996年、国連開発計画(UNDP)の報告書『都市農業——食料・仕事・持続可能な都市』を主著者としてまとめる。世界で数億人が都市農業に従事しているという推計を示したこの報告書は、各国政府や国際機関が都市の農を『例外』ではなく『政策対象』として扱う転換点となり、いまも当分野の古典として参照されつづけている。
スミットは2009年に80歳で亡くなるまで、講演と助言を通じて世界中の実践者を励ましつづけた。『都市農業の父』という呼び名は、個々の農園ではなく、分野そのものを耕した人への敬意である。