都市的土地利用の手法としての市民農園の展開可能性
新田 直人, 谷口 守
土木学会論文集 80巻11号 論文ID:23-00303
Urban Farm DB の要約
大都市圏で増加する民間市民農園の料金設定を重回帰分析し、鉄道アクセス・都心距離・周辺人口など都市的土地利用の視点で設定されていることを示す。民間事業者による屋上・非農地活用農園の展開可能性を論じる。
主なポイント
- 1農地関連法の規制緩和により、大都市圏で民間市民農園が増加している。
- 2民間市民農園は公設市民農園に比べ、施設・サービスが充実し、料金も高い。
- 3民間市民農園の料金は、設備・サービスに加え、鉄道アクセス、都心距離、周辺人口など都市的土地利用の視点で設定されている。
- 4この料金設定は、都市における農業の存在を否定する従来の土地利用議論を見直すきっかけとなる。
- 5都市農地に都市的土地利用の付け値を設定できれば、農地転用抑制や都市の未利用地の農業的利用に貢献する可能性がある。
- 6公設市民農園は、民間農園との競合を避け、農福連携農園など公共性の高い農園に重点化すべきである。
抄録・収録テキスト
OpenAlex農地関連法の規制緩和により、大都市圏において民間市民農園が増加しています。これらの民間市民農園は、従来の公設市民農園と比較して施設やサービスが充実しており、高い料金が設定されています。その料金を重回帰分析した結果、設備・サービスだけでなく、鉄道アクセス、都心からの距離、周辺人口といった都市的土地利用の視点から料金が設定されていることが明らかになりました。これは、農業的土地利用と都市的土地利用の付け値曲線の違いから、都市に農業は存在しないとする従来の議論では見過ごされてきた土地利用の形態です。都市農地に都市的土地利用の付け値を設定できれば、農地転用の抑制や都市の未利用地の農業的利用に貢献する可能性があります。また、民間市民農園と競合する公設市民農園は、農福連携農園のような、より公共性の高い農園に重点を置くことが期待されます。
アーバンファームとの関係
この研究は、都市における市民農園の経済的価値が、単なる農業生産だけでなく、交通アクセスや都市中心部からの距離、周辺人口といった都市的な要素によっても大きく左右されることを示しています。これは、市民が都市農園を計画・運営する際に、立地条件や提供するサービスを工夫することで、より持続可能で魅力的な農園を創出できる可能性を示唆しています。また、屋上や未利用地など、これまで農業には不向きとされてきた場所でも、都市的価値を考慮した運営モデルを導入することで、新たな都市農園の展開が可能になるかもしれません。公設市民農園が農福連携のような公共性の高い活動に注力することで、市民農園全体が多様なニーズに応える場となることも期待されます。