データベース収録論文2026·米国(ペンシルベニア州フィラデルフィア)
都市のコミュニティガーデンを守るデータ基盤をつくる:フィラデルフィア・ガーデン・データ・コラボラティブの教訓
Building protective data infrastructure for urban community gardens: Lessons from the Philadelphia Garden Data Collaborative
Kremer, Peleg, Borowiak, Craig, Scolio, Madeline
Journal of Agriculture, Food Systems, and Community Development
Urban Farm DB の要約
米国の都市のコミュニティガーデンは、地域の福祉に不可欠で都市の社会インフラの一部でありながら、借地の不安定さ・ばらばらな政策支援・構造的な投資不足のせいで極めて脆い、という矛盾を抱えている。本稿は、フィラデルフィアで市民が管理する緑地を記録・保護・擁護するために複数の主体が集まった「フィラデルフィア・ガーデン・データ・コラボラティブ(PGDC)」を、当事者研究者の立場から振り返った論考。草の根のマッピングから協調的なデータ管理へと発展した過程をたどり、それが保安官競売による立ち退きの阻止といった緊急対応と、長期的な保全戦略の双方を可能にしたことを示す。同時に、行政の無関心ゆえに菜園が「見えない」存在にされてきた場所で、可視化が新たなリスクを呼び込みうるという倫理的なジレンマも扱う。データは擁護活動を強め政策に情報を与えるが、確かな借地の仕組みと持続的な公的投資が伴わなければ菜園の将来は守れない、と結論づける。