カシニワ制度に基づくコミュニティガーデンにおける公共性の変化
Watanabe Y., Miyamoto M., Amemiya M., Terada T., Yokohari M.
ランドスケープ研究 77(5):713-718
Urban Farm DB の要約
千葉県柏市のカシニワ制度により設立されたコミュニティガーデン「自由広場」を事例に、住民が描いた配置図や年次運営報告書、町会員へのインタビューを通じて、コミュニティガーデンの公共性が形成・変化していく過程を解明した。
主なポイント
- 1日本の都市の縮小と高齢化により、住民が維持するコミュニティガーデンが公共空間の維持に不可欠になっている。
- 2千葉県柏市のカシニワ制度に基づく「自由広場」コミュニティガーデンを事例として、公共空間としての発展過程を調査した。
- 3住民作成の配置図、年次運営報告書、町内会メンバーへのインタビューを通じてデータを収集した。
- 4コミュニティガーデンの「公共性」は、複数の「私的なもの」の集約と公共部門の介入によって徐々に高まることが判明した。
- 5集約された私的なものから生まれる公共性を持つコミュニティガーデンは、日本の将来の縮小都市に適した新しい公共空間である。
抄録・収録テキスト
OpenAlex公共部門によって設立・維持されてきた公園は、日本のオープンスペース計画において長らく主要な役割を担ってきました。しかし、日本の都市は、遠隔地だけでなく主要な都市圏においても、急速な高齢化と人口減少により縮小し始めており、このような状況下で、地域住民によって設立・維持される暫定的なコミュニティガーデンは、地域社会における公共空間を維持する上で不可欠な役割を果たすようになっています。本研究は、千葉県柏市のカシニワ制度によって設立された自由広場を事例として、公共空間としてのコミュニティガーデンの発展過程を特定することを目的としました。住民が作成した配置図や年次運営報告書などの資料を収集し、町内会メンバーを対象に詳細なインタビューを実施しました。文献調査とインタビュー調査の結果、自由広場のコミュニティガーデンにおける「公共性」は、公共部門による時折の介入を伴いながら、複数の「私的なもの」を集約することによって徐々に高められていくことが明らかになりました。集約された私的なものの結果としての公共性を持つコミュニティガーデンは、日本の将来の縮小都市に適した新しい公共空間であると理解されました。
アーバンファームとの関係
この研究は、都市農園が単なる食料生産の場ではなく、地域社会の公共空間を形成する上でいかに重要であるかを示しています。特に人口減少や高齢化が進む都市において、住民が主体となって運営する都市農園は、個々の「私的な」活動が集まることで「公共性」を生み出し、地域コミュニティの核となり得ます。これは、市民が主導する都市農園が、都市の縮小という課題に対する有効な解決策の一つとなり得ることを示唆しています。