研究・論文
市民の都市農業・食育・コンポスト・福祉などに関する研究や報告書を集めています。
テーマ
批判的・否定的知見
1381 件(4 / 56)
バングラデシュ・ダッカ市における都市農業の動態——立地・パターン・プロセス
2026Ruma Chowdhury · Asian Journal of Advances in Agricultural Research · Bangladesh
バングラデシュの首都ダッカ市のバシャボ、グルシャン、パラビの3タナ(行政区)を対象とした調査で、都市農業の実態と分布パターンを検証した研究。調査の結果、野菜栽培、観賞植物、花卉栽培、鳩・鳥の飼育、酪農・ヤギ飼育など多様な形態の都市農業が存在することが確認された。多くの住民にとって都市農業は住宅や環境の美観向上を動機とする趣味であり、新鮮で無化学肥料の野菜・果物を求めて裏庭で栽培する人々もみられた。同市の農業気候条件は花卉・観葉植物の栽培に適しており、花卉栽培はバングラデシュにおける新興産業として位置づけられ、酪農はミルク需要の高まりを背景にあらゆる行政区で一般的にみられるようになっているとされる。
コミュニティ経済垂直農法とエネルギー市場の統合:機会と課題
2026Akhil S Anand, Hannes Pravida, Fredrik Fossan-Waage, Tormod Skorpe Skjolden, Giulia Robbiani, Younes Zahraoui, Emil Wolff Anthony, Jayaprakash Rajasekharan, Sissel Torre, Knut Asbjørn Solhaug, Sebastien Gros · Frontiers in Horticulture · Global
制御環境型農業である垂直農法(バーティカルファーミング)について、エネルギー市場との統合の可能性と課題を検討した論文。垂直農法は高い初期投資・運用コスト、とりわけ大きなエネルギー支出により経済的成立性が制約されていることを指摘した上で、再生可能エネルギー統合が進む電力市場(前日市場・調整力市場・柔軟性市場)に垂直農場が参加し、照明・空調のエネルギー使用を市場信号に応じて調整することで運用コスト削減や追加収益の可能性を論じた。一方で、変動照明に対する植物の応答についての理解不足を実装上の重大な障壁として特定し、小規模な実験室実験によってこの統合の課題を示した。
事業採算・継続性経済気候変動デジタル農業農業・食料セクターにおける社会イノベーションと持続可能な起業活動の実践、および農村生産者の社会・環境レジリエンスへの寄与に関する系統的レビュー
2026Esther Reyna Molina, María Xóchitl Astudillo Miller, Yanik I. Maldonado-Astudillo, Ricardo Salazar · Discover Sustainability · Global
PRISMA 2020方法論を用いた系統的レビューで、農業・食料セクターにおける社会イノベーションと持続可能な起業活動を、農村小規模生産者と地域食料システムの社会・環境レジリエンスへの体系的対応として整理した研究。実践内容を特徴づけ、持続可能性の各次元への影響を評価し、成功要因と障壁を特定した。結果、持続可能な起業活動よりも社会イノベーションを扱う研究の方が多く、事例はヨーロッパ・アフリカ・アジア・オセアニア・南北アメリカに分布していた。取り上げられた取り組みには、社会的農業、コミュニティガーデン、包摂的なアグリビジネスモデル、女性協同組合、環境再生型のアグロエコロジー事業が含まれ、全体として社会的包摂、コミュニティのエンパワーメント、市場アクセス、所得の多様化、環境慣行の改善に肯定的な効果が報告された。促進要因としては部門横断的な協働ガバナンス、地域のリーダーシップ、異種資源を結びつける能力が挙げられ、障壁としては制度・規制枠組みの不整合、外部資金への依存、経済的目標と社会・環境的目標の間の緊張が特定された。結論として、社会イノベーションと持続可能な起業活動を組み合わせたハイブリッドな実践は、有利な制度環境に組み込まれ、公共政策と法制度に支えられている場合に、農村生産者の社会・環境レジリエンスに大きく寄与するとしている。
コミュニティ政策経済食料主権・社会正義バンクーバー都心とカルガリー郊外の住区において、緑化はジェントリファイアーをどれだけ引き寄せているか
2026Quinton J, Nesbitt L, Connolly JJT, Wyly E · Urban Studies · カナダ(バンクーバー・カルガリー)
「グリーン・ジェントリフィケーション」は、公園やコミュニティガーデンをつくることが高所得世帯の流入を招き、周縁化された住民の立ち退き・排除につながるという議論だが、緑化が本当に高所得世帯を引き寄せているのかは実証的にはほとんど検証されてこなかった、と著者らは指摘する。また従来の研究は都心の住区にほぼ限られており、郊外への転居動機として緑地への欲求がしばしば挙げられることが視野に入っていなかった。本研究はジェントリフィケーションが進んだバンクーバー都心と、カルガリー郊外の新築住区の104世帯を調査し、転入を決めたときに住区の緑量と緑地への近さがどれだけ重要だったかを、他の要因と並べて測った。結果、緑の要因は安全性・眺望・雰囲気(バンクーバーでは娯楽施設や交通の近さ)といった非緑の要因と同程度の重要性しか持たなかった。住区全体の緑量より緑地への近さのほうが重視され、郊外では私的な緑地がより重視された。緑化だけが高所得世帯を動かしているわけではないという含意である。
公平性・立ち退き政策コミュニティ経済フィリピンの都市農業:課題・可能性・食料安全保障における役割
2026Liz Ignowski, John Luis Lagdameo, Liel Gonzalez, Arma Bertuso, Pepijn Schreinemachers · Urban Agriculture & Regional Food Systems 11(1) · Philippines (Quezon City, Metro Manila)
メトロマニラを構成する17市のひとつケソン市で、都市の食料生産者300人に定量調査を行い、誰が都市農業をしていて、どんな方法と技術を使い、何に困り、何を得ているかを調べた。結果は、都市農業のほとんどが小規模・自給向けで、農地を確保できた人を除けば商業化はごく限られていた。自分でつくった作物は果物と野菜へのアクセスを増やす一方で、都市農業への参加は「食が足りている」ことよりも「経済的に脆弱である」ことを反映していた。生産規模と商業化の度合いは土地へのアクセスに強く左右され、密度の高い都市部での構造的な壁になっている。著者らは、ケソン市の都市農業は都市食料システムにおける収入源というより「セーフティネット」として機能しており、同時に楽しみやストレス解消をもたらしていると結論づけ、都市の食料安全保障政策は都市生産の役割が限られていることを現実的に踏まえるべきだと述べている。
効果は限定的経済政策コミュニティ食料主権・社会正義都市農業における屋上菜園の障壁と、その規定要因
2026Md. Nur Alom Sarkar Mithun, Saifur Rahman, Md. Asifur Rahman, Md. Hasan Sabit, Joseph L. Donaldson, Shonia Sheheli · Urban Agriculture & Regional Food Systems 11(1) · Bangladesh (Mymensingh — Kewatkhali and Aqua)
バングラデシュ・マイメンシンのケワトカリとアクア地区で、屋上菜園を実際にやっている住民100人を無作為に選び、2023年9〜11月に構造化面接で「何が障壁と感じられているか」を調べた研究。記述統計・順位づけ・相関係数・重回帰で分析した。結果は、全員が相当の障壁を感じていた。もっとも大きな懸念は屋上菜園に伴う技術の複雑さで、逆にもっとも小さかったのは近隣住民からの否定的な視線だった。相関分析では、年齢・屋上菜園の面積・所得・経験・普及メディアとの接触・栽培の知識が、感じている障壁の大きさと負の関係にあった(多いほど障壁を感じにくい)。重回帰では、屋上菜園の面積と知識が特に効いていた。著者らは、研究・実演・普及活動・研修を通じて住民の技能と理解を高めることが障壁を下げる道だとしている。
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屋上緑化(グリーンルーフ)
2026· Wikipedia · Global
屋上緑化は建物の屋根を植生と生育基盤で覆う構造で、雨水保持・断熱・ヒートアイランド緩和・生物多様性向上などの効果を持つとまとめる記事。設置コストは工法により大きく異なり、粗放型で108〜248ドル/m2、集約型で355〜2,368ドル/m2とされる。初期費用は高いが、屋根の寿命延長や不動産価値上昇など長期的な経済効果も紹介している。
気候変動生物多様性経済政策特別期間(スペシャル・ピリオド)
2026· Wikipedia · Cuba
ソビエト連邦崩壊後のキューバの経済危機「特別期間」を扱うWikipedia記事。ソ連消滅で石油輸入は1990年以前の約10%まで落ち込み、GDPは35%縮小、輸出入はいずれも80%超減少した。農業生産は47%、建設は75%、製造業生産能力は90%減少したと記載されている。危機を受けた農業転換の必要性が説明されている。
都市農村連携食料主権・社会正義経済気候変動キューバの農業
2026· Wikipedia · Cuba
キューバ農業の歴史と現況を扱うWikipedia記事。ソ連はかつてキューバの食料輸入の63%・石油の90%を供給しており、その崩壊で1989〜1994年に農業生産は54%減少した。2002年時点で都市農園は35,000エーカー(約140km2)で340万トンの食料を生産し、ハバナでは新鮮な農産物の90%が地元の都市農業由来、2003年には20万人超が都市農業部門で働いていたと記載。近年は協同組合・家族農家がキューバ農地の約69%を管理する。
都市農村連携食料主権・社会正義経済有機資源循環キューバの経済
2026· Wikipedia · Cuba
キューバ経済史を扱うWikipedia記事。ソ連解体と東側貿易の喪失により1989〜1993年にGDPが少なくとも35%縮小したと記載。1994年10月には国営・民間農場が生産割当超過分を自由市場価格で販売できる自由農産物市場が導入された。2011年以降の改革では未利用国有地を住民にユスフルクト(用益権)としてリースする制度が広がり、2012年時点で15万人超の農民が余剰生産のため政府から土地をリースしていたとされる。
経済政策食料主権・社会正義特別期間(スペイン語版)
2026· Wikipedia (スペイン語) · Cuba
キューバの「特別期間」を扱うスペイン語版Wikipedia記事。ソ連崩壊により1990〜1993年にGDPが36%縮小し、1日あたりの摂取カロリーは1989年の2,845kcalから1994年の1,863kcalへ減少(推奨最低ライン2,100〜2,300kcalを下回る)したと記載。石油へのアクセス喪失を受け、国際的な技術者の助けでパーマカルチャーや有機農業への転換が進んだ(organopónicosへの変化)。1994年以降回復が始まり、GDPは2007年に1990年水準へ回復したとされる。
都市農村連携食料主権・社会正義経済オルガノポニコ・ビベロ・アラマル
2026Global Network of Lighthouse Farms (Wageningen University & Research) · Global Network of Lighthouse Farms (Wageningen University & Research) · Cuba
ワーヘニンゲン大学の灯台農場ネットワークによるOrganopónico Vivero Alamarの紹介ページ。1997年に協同組合員5名が設立したUBPC(基礎協同生産単位)で、当初は800m2の手動灌漑の樹木苗床だったが、現在は10.14haに150名の協同組合員(うち女性42名)を抱える。野菜・果実・木材植物の苗床、0.45haの温室、昆虫病原菌繁殖の簡易実験室、菌根菌繁殖センター、果実・野菜の小規模加工施設を備える。COVID-19による経済難と山火事で農場は閉鎖を余儀なくされたと記載。
都市農村連携食料主権・社会正義有機資源循環経済ハーバー法(ハーバー・ボッシュ法)
2026· Wikipedia · Global
アンモニア合成の工業プロセス、ハーバー(・ボッシュ)法を扱うWikipedia記事。2018年時点で年間2億3,000万トンの無水アンモニアを生産しているとされ、人体組織中の窒素の「ほぼ50%」がこのプロセス由来と記載されている。アンモニア生産は世界のエネルギー消費の1〜2%、天然ガス生産の3〜5%、世界の炭素排出量の3%を占めるとされる一方、窒素利用効率は典型的に50%未満で、過剰施肥由来の農地流出が生態系を損なうと指摘されている。同プロセスは20世紀初頭に約20億人だった世界人口が現在80億人超に拡大したことを支えたとも記述されている。
有機資源循環気候変動経済リン(元素)(§埋蔵量/§保全とリサイクル節)— 「ピークリン」からのリダイレクト
2026· Wikipedia · Global
「Peak phosphorus」のURLは現在Wikipediaの「Phosphorus」記事内の埋蔵量節にリダイレクトされている。2023年のUSGS推計で世界の商業的に採掘可能なリン鉱石埋蔵量は720億トン、2022年の世界採掘量は2億2,000万トンで、成長ゼロと仮定すればおよそ300年分に相当するとされる。ノルウェーで2023年に新たな鉱床が発見される以前は、商業的に採算の合う埋蔵量は50〜100年で枯渇すると見込まれていた。埋蔵量の推計自体は論争的で、2010年のIFDC報告書は特にモロッコの埋蔵量について実際には仮説的・推定的な資源を「埋蔵量」と呼び直しただけだとする2014年のレビュー論文の批判が紹介されている。リン鉱石の不足や大幅な価格上昇は世界の食料安全保障に悪影響を与えかねないとも記されている。対応策として、農地流出削減(不耕起栽培・等高線耕作・防風林等)、下水汚泥の焼却・灰からのリン回収、ストルバイトなどリン含有廃棄物からの回収技術が挙げられているが、現在の技術は市場価格に対してまだコスト効率的でないとされる。
有機資源循環経済政策食料主権・社会正義シンガポールの農業(英語版ウィキペディア)
2026· Wikipedia (English) · Singapore
英語版ウィキペディアの「シンガポールの農業」項目。同国は食料の約90%を海外輸入に依存する。2019年に「30 by 30」目標(2030年までに栄養需要の30%を国内生産)が掲げられたが、2025年11月に改定され、2035年までに葉物野菜等20%・タンパク質(水産物・卵含む)30%を国内生産する新目標となった。2024年時点で陸上153・海上72の計225農場があり、総生産額は2億3,100万シンガポールドル。
食料主権・社会正義政策経済都市農村連携シンガポール食糧庁(英語版ウィキペディア)
2026· Wikipedia (English) · Singapore
英語版ウィキペディアの「シンガポール食糧庁」項目。同庁は2019年4月1日、旧農業食糧獣医庁(AVA)の食糧関連機能や、国家環境庁・保健科学庁の一部機能を統合して発足した。2019年3月8日に「30 by 30」目標(2030年までに食糧需要の30%を国内生産、当時の10%から引き上げ)が発表された。2025年に新目標へ改定された。
政策食料主権・社会正義経済シンガポールの食料安全保障
2026· Wikipedia · Singapore
シンガポールの食料安全保障を扱うWikipedia記事。食料の約90%が海外からの輸入であるとし、政府が2030年までに国内で栄養必要量の30%を生産する「30 by 30」目標を掲げていると説明する。さらに2035年までの新目標として、繊維(野菜等)消費量の20%、タンパク質(卵・海産物)消費量の30%を国内生産する計画があるとし、2024年時点の達成状況として繊維が8%、タンパク質が26%であったと記す。
食料主権・社会正義政策経済ESG投資ブームは「インパクトウォッシュ」だったのか
2026James Comtois · Institutional Investor · Global
国連責任投資原則(PRI)の署名機関は2006年の63機関・運用資産6.5兆ドルから、2019年には2,450機関・80兆ドルへ拡大した。記事はDemirerとZhangによる研究論文を紹介し、機関投資家のESG投資は「流行・評判への配慮・資金流入」に主に駆動された横並び行動であり、投資先企業のESG改善にも投資成績の向上にもつながっていないと論じる。記事執筆時点で世界のESGファンドへの資金流入は前年に50%減少し、四半期ベースで過去最大の120億ドルが引き揚げられている。
効果は限定的経済政策グローバル・インパクト投資ネットワーク
2026· Wikipedia · Global
GIINは2009年9月にニューヨークで設立された非営利組織で、共同創設者はアミット・ブーリとアントニー・バグレヴィン。2009年9月25日にクリントン・グローバル・イニシアティブの場でビル・クリントンにより公表された。インパクト投資の規模拡大と専門職化を目的に、会議の開催、市場調査、インパクト測定基準IRIS(2009年開始、2019年にIRIS+へ)、Operating Principles for Impact Managementの運営を担う。2025年6月時点の会員は421社、2022年の収入は1,648万ドル、総資産は1,697万ドル。Operating Principles には2025年3月時点で40か国186社が署名している。
経済政策タンザニア・ダルエスサラームの都市・近郊農業におけるジェンダー動態
2026Chifunda Emmanuel Felix, Kifunda Christina Felix · Cogent Food & Agriculture · タンザニア
ダルエスサラームの都市・近郊農業を、そこで働く人びとのジェンダーの観点から扱った論文。書誌情報(著者・掲載誌・DOI)は出典で確認したが、本文の要旨は取得できていないため、ここでは主題の範囲のみを記す。
コミュニティ近郊農業経済ロサリオの都市農業の「先史時代」——モデル事業の起源
2026Ricardo Robins · Fundación Rosa Luxemburgo (Oficina Buenos Aires) · Argentina
ロサリオ都市農業プログラム(PAU)の起源を、創始者アントニオ・ラトゥーカへの現地取材で辿るルポルタージュ。1987年にサラディージョ・スール地区で始まった最初の共同菜園、1990年の「共同菜園プログラム」制定条例、2002年のPAU正式発足という流れを描き、現在は12の公園・共同菜園が約40haに広がり、150世帯以上が年間およそ65万kgの有機野菜を収穫していると報告する。2008年開業のパルケ・ウエルタ・タブラダ(3ha、従事者20人)の現況にも触れる。
コミュニティ政策都市農村連携経済都市インフラとしての環境制御農業——空間的公平をめぐる公共的アジェンダへ
2026Rao X., Zahid A., Ye X., Jain D., Duffield N. · Urban Informatics · 国際(論考)
環境制御農業(CEA)は都市の食料安全保障への高度技術的な解として現れたが、ベンチャー資本と利益最大化に引っぱられた結果、規模の拡大は限られ、作る作物の幅も狭く、空間的公平——都市の地理のなかで食のインフラが公平に配られること——にほとんど向き合ってこなかったと指摘する論考。CEAを単独の技術的解決策ではなく都市インフラの一部として位置づけ、食の公正・公衆衛生・環境レジリエンスへの相乗効果を生む方向へ転換すべきだと主張する。
公平性・立ち退き政策経済コミュニティ南アフリカ都市農業における低所得農家と水耕栽培の成立条件——都市政治生態学からの検証
2026Noxolo B.M., Kanosvamhira T.P. · Urban Agriculture & Regional Food Systems · 南アフリカ・ケープタウン(低所得地区)
人口が密集した地区では土地が足りず、水耕栽培への関心が集まる。それがケープタウンの低所得地区で本当に成り立つのかを調査票と聞き取りで検証した。研究の蓄積がグローバル・ノースの都市に偏っている点を補う位置づけ。農家が挙げた利点は収量の改善・節水・限られた土地の効率利用。いずれも水不足と狭さを抱える市内で価値を持つ。一方で初期投資の高さと行政支援の乏しさという障害が残る。都市政治生態学の視点を用い、この金銭的・制度的な壁が歴史的に作られた不平等と資本主義的な都市開発の力学に根を持つと論じる。結論として、水耕栽培は持続可能な選択肢としての可能性はあるがコストが高く適用範囲が広がらず、資源配分が不均等な低所得地域の食料安全保障を担う大規模な代替手段としてはまだ成り立たないとする。財務的な実現可能性と地域の技術的知見という制度的課題に支援側が向き合うことが前提条件になる。
事業採算・継続性経済政策食料主権・社会正義収量の先へ——エネルギー・水・コスト・炭素を統合した屋内型垂直農園の成立条件の指標化
2026Ceccanti F., Bischi A., Desideri U., Baccioli A. · Energy Conversion and Management · 国際比較(トロンハイム・上海・ドバイを想定したモデル計算)
垂直農園の経済性をめぐる既存研究が簡易モデルに頼ってきた点を補い、入力条件ひとつひとつが効率・持続可能性・経済的成立性をどう動かすかを詳細なモデルと感度・相関分析で切り分けた。温度・光合成有効光量子束密度(PPFD)・CO2濃度を各3水準、断熱厚を2水準とし、社会環境の条件が異なるトロンハイム・上海・ドバイの3地域で計162シナリオを試算。空調と除湿が効くため、断熱や外気候にかかわらず収量は最適に保てる。成長を最も左右するのはPPFD(相関0.85)。CO2(0.36)・温度(0.22)が続き、PPFDはエネルギー消費の主因(0.73)にもなる。単位面積あたりのエネルギー消費が最小になる条件は収量も最小(55kg/m2)という裏表の関係にあり、レタスの均等化生産費が最も安いのは24℃・PPFD 250μmol/m2s・CO2 1400ppm・断熱ありの組み合わせ(102kg/m2)だった。輸入レタスよりCO2排出を増やさずに垂直農園を回せるのは脱炭素化されたエネルギー系統のもとだけだと結論づける。
環境負荷のトレードオフ経済気候変動食料流通・フードマイルオクラホマ州の園芸作物生産と地域食料システムを阻むもの
2026Darrow S., Kathi S., Liebe R., Cline L.L., Moss J.Q. · Urban Agriculture & Regional Food Systems · 米国オクラホマ州(農村・都市・近郊)
オクラホマ州の園芸作物部門が縮小を続けている。野菜経営は2007年の799件から2022年に482件へ減った。それでも地域の果樹・野菜生産者がファーマーズマーケット・フードハブ・直販の供給基盤であり続けているため、生産者の経営が立たなくなること自体が都市・近郊の食料アクセスと公衆衛生の問題になる——生産基盤が縮めば都市の食環境が弱り、フードデザートが広がり、地元産の入手が細る。この問題設定のもと、資源配分の判断材料をつくる目的で州内の農村・都市・近郊から経験ある果樹・野菜生産者29名を集め、半構造化フォーカスグループを5回実施。NVivoでオープンコーディングし、セッションを重ねて飽和を確認した。メンバーチェック・コードの相互査読・フィールドノートの三角測量で妥当性を担保している。180の初期コードを10の親コードに整理し、(1)生産をめぐる対抗文化的な思想、(2)生産者が使える資源の不足、(3)産業側にある発展阻害要因という3つの主題を抽出。文化・制度・構造の各層で不利が積み重なる構図を示し、州全体の地域食料システム計画の策定・生産者協会の設立・地域食料システム専任の普及職の配置を提言する。
事業採算・継続性経済政策都市農村連携