コミュニティづくり
市民参加型の都市農にとって、コミュニティは収益と並ぶ、あるいはそれ以上の核です。誰がどう関わり続けるかの設計が、農園の寿命を左右します。
554 件の事例
要点
- 収録 554 件がコミュニティを軸に据える。
- 関わりの入口を複数用意し、コア層と緩い参加層を両立させる。
- 孤立解消・防災・見守りなど社会的インパクトが連携の根拠に。
データから見えること
続く場には共通点があります。区画やイベント・ワークショップで関わりの入口を複数用意し、世話を担うコアメンバーと、ゆるく関わる参加者の層を両立させていること。運営の透明性や、誰でも手を出せる作業設計も継続を支えます。
コミュニティの価値は、収穫物の経済価値では測れません。孤立の解消・防災時の助け合い・地域の見守りなど、社会的なインパクトが事業の正当性と、行政・企業との連携の根拠になります。
代表的な事例
関連する事例を見る →キベラのサックガーデニング
KENairobi, Kenya
ナイロビの大規模スラム、キベラで広がる垂直の袋栽培。耕地のない密集地で、土を詰めた袋にケールやホウレンソウを育てる住民主体の食料生産。
foodsystemsjournal.org+4
アバリミ・ベゼカヤ(ケープタウン)
ZACape Town, South Africa
1982年設立、ケープタウンのタウンシップで小規模な市民農業を支援するNPO。「家の農民」を意味する名のとおり、貧困地域の住民が有機菜園で野菜を育てられるよう研修と資材を提供し、食料保障と生計を支える。
abalimibezekhaya.org.za+4
イェディクレ・ボスタン(歴史的市民菜園)
TRIstanbul, Turkey
イスタンブール旧市街のテオドシウス城壁沿いに残る、ビザンツ・オスマン期から続く歴史的な市民菜園「ボスタン」。有機的な都市農業と固定種の継承を守りつつ、再開発計画に対して市民・農家・活動家が連携して保全運動を展開している。イェディクレ・マルル(レタス)は運動の象徴となっている。
anfenglish.com+4
野村不動産 都市型体験農園サービス(JA世田谷目黒 連携)
JPSetagaya, Tokyo, Japan
野村不動産がJA世田谷目黒と業務提携し、2020年11月に世田谷区中町でスタートした会員制の都市型体験農園。組合員所有の生産緑地約2,000㎡超を借り受け、約200区画(1区画3.6㎡)を住民・市民に貸し出す。JAの農家・アドバイザーが栽培をサポートし、種・苗・肥料・農具がそろうため、初心者でも手ぶらで作付けから収穫まで本格的な農業を体験できる。減少する都市農地の保全と食育・コミュニティ形成を狙う。
jacom.or.jp+3
関連する研究
より緑豊かな都市を育てる(FAO)
FAOによる都市・近郊農業の意義と政策をまとめた取り組み。食料安全保障、雇用、環境、栄養の観点から、都市での市民の食料生産を支援する枠組みを提示している。
FAO · 2010 · Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO)
都市農業の社会文化的便益:文献レビュー
57カ国の事例を含む272本の査読論文を分析し、都市農業の社会文化的便益を「結束したコミュニティ」「健康と幸福」「経済的機会」「教育」の4領域に整理した大規模レビュー。社会的つながりや学びの場としての価値が最も多く報告された。
Ilieva R.T., Cohen N., Israel M. ほか · 2022 · Land (MDPI), 11(5):622
コミュニティガーデンが食事・健康・心理社会的・コミュニティ的成果に及ぼす影響:系統的レビュー
基準を満たした53研究を統合した系統的レビュー。コミュニティガーデンへの参加は野菜・果物の摂取量増加や一部の心理社会的・コミュニティ的成果と正の関連を示したが、身体的健康指標への効果は一貫しなかった。
Hume C., Grieger J.A., Kalamkarian A. ほか · 2022 · BMC Public Health, 22:1247
都市農業は参加者の健康にどう寄与するか:東京の市民農園と体験農園の事例研究
東京の市民農園・体験農園の参加者783名と非参加者1254名を比較した横断研究。両タイプの都市農業への参加者は、非参加者に比べて自己評価による健康度および精神的健康が有意に良好であり、参加者間の交流が健康に寄与することを示した。
Harada K., Hino K., Iida A. ほか · 2021 · International Journal of Environmental Research and Public Health (IJERPH), 18(2):542
社会住宅における学びの場としてのコミュニティガーデン:幸福感とコミュニティのつながりに関する参加者の認識
シドニーの社会住宅団地に住む42名を対象に、6つの新設コミュニティガーデンの効果を混合研究法で評価。参加者は健康・幸福への意識向上、新鮮な食物を育てる関心、収穫物やレシピの共有、幸福感、そして頻繁な交流とコミュニティのつながりを報告した。
Gray T., Tracey D., Truong S. ほか · 2022 · Local Environment, 27(5):570-585