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災害とアーバンファーム⑤——日本の都市農地を『平時から使える防災』にする

防災協力農地、井戸、開放日を別々にしない

2026-08-09 · 15

特集 · 災害とアーバンファーム5 / 7

日本の都市農地で、開放日・防災訓練・井戸・耕作継続を一体で運用する様子の図解

日本には、都市農地を防災に生かすための制度や実践がすでにあります。五回目は、それを特別なプロジェクトとして遠ざけず、農園の日常とどう結び直せるかを考えます。

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3分でわかる本記事の内容

  • 制度を導入するだけでは、非常時の使いやすさにならない。
  • 開放日・教育・地域行事が、実は防災の運用訓練になる。
  • 農地の保全と地域の安全を別の話にしない。

はじめに

既にある入口

農林水産省は都市農地を、火災時の延焼防止、避難・復旧のための空間などの機能を持つものとして説明しています。これは『農地を防災施設に変える』という意味ではありません。農地が本来持つ開放性や土、水、人の活動を、地域の安全にもつなげるという入口です。

日本の制度を読む鍵は、防災機能を農業の外から足すのではなく、都市農業がすでに持つ開放性・水・交流を安全計画につなぐことです。

見取り図

日常の活動を重ねる

たとえば収穫祭で入口と通路を確認する、学校の授業で井戸の位置を共有する、地域の炊き出し訓練で農園の屋根を使う。これらは農園の魅力を損なう追加作業ではなく、日常の活動に防災の確認を重ねる方法です。年に一度の大訓練より、少人数で何度も確認する方が運用は育ちます。

収穫祭、学校授業、炊き出し訓練を別々に開催する必要はありません。入口、井戸、避難経路を日常の活動で確認すれば、農園の魅力と防災の実務を同じ時間に扱えます。

検討

保全の論点

都市農地が減れば、防災のために使える余白も減ります。ただし、防災価値だけを理由に農地を固定化しても、耕作する人の暮らしが続かなければ土地は守れません。農業の収入、相続や貸借、近隣との合意と、防災利用を同じテーブルで話すことが必要です。

防災協力農地の価値は、災害時だけに決まらない。相続、貸借、収入、耕作者の高齢化が解けなければ、制度上の農地は残っても実際に使える場所は減ります。

検討

地域に問いを返す

自分の地域の農地を見たとき、『ここは避難所になれるか』だけでなく、『この農地が十年後にも耕されるには何が要るか』と問います。この二つを結ぶ答えは、土地ごとに異なります。だからこそ、所有者、耕作者、自治会、子どもや高齢者が同じ場所で話す機会が重要になります。

大阪府摂津市の交付金事例は、防災協力農地に看板を設置し、市民への周知と農地・市民農園の保全をつなげました。看板は小さな設備ですが、指定を行政内部の台帳から近隣が知る公共情報へ変える実装です。

読み方

防災価値と耕作の採算を、同じテーブルで問う

『防災を理由に農地を残せばよい』という反論には、耕作の採算という現実があります。防災の公益性を語るなら、維持する農家へ費用と権限をどう返すかまで示す必要があります。

実践

登録面積より、鍵・訓練・復旧の記録を残す

制度の評価指標は、登録面積だけでは足りません。鍵の所在、訓練実施日、利用後の復旧、近隣が知っているかを記録すれば、数字と実用性の差が見えます。

振り返り

農地を守る条件と、地域を守る条件を結び直す

Day5は、Day4の暫定利用を日本の制度と日常へ戻しました。次回は、制度を続けるための費用・補助・意思決定という、避けて通れない経済の話に進みます。

自治体ごとの運用差を横断比較する公開データは十分ではありません。制度の有無から実際の避難・給水への効果を推定することには留保が必要です。

本記事の結論は、防災協力農地を登録制度で終わらせず、日常の農園活動に埋め込むことです。そこで初めて、農地保全と地域安全が同じ議題になります。

この記事の要点

  • 防災を日常の農園活動へ重ねると、実行可能性が上がる。
  • 農地を守る条件と地域を守る条件を一緒に話す。

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