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都市の水と土

雨はどこへ消えるのか——土壌と水循環の科学と、世界の都市が築く“吸う都市”の仕組み

2026-06-22 · 21

コンクリートとアスファルトに覆われた都市で、降った雨はどこへ行くのでしょうか。本来なら土に染み込み、根と微生物に支えられてゆっくり蒸発し、川へと還っていくはずの水が、都市では行き場を失い、一気に下水へ流れ込んで洪水を起こします。本コラムでは、まず「土とは何か」「水は土の中をどう動くのか」という基礎の科学を一から解きほぐし、都市が水と土をどう壊してきたかを見たうえで、日本・アメリカ・欧州・アジアが築く“雨を吸う都市”の仕組みを横断します。都市農の足元を支える、見えないインフラの探究です。

はじめに

足元の見えないインフラ——土と水という都市の土台

私たちは普段、足元の土をほとんど意識しません。しかし土は、植物を育てるだけの「汚れ」ではなく、雨を蓄え、ろ過し、炭素を貯め、無数の生き物を養う、惑星規模のインフラです。健康な土1グラムには数十億の微生物が棲み、その団粒構造はスポンジのように水と空気を抱え込みます。都市はこの土を、建物と舗装で覆い隠し、踏み固め、しばしば汚染してきました。

都市農の文脈で水と土を学ぶ意味は大きい。畑づくりの成否は、つまるところ「土がどれだけ水を蓄え、根に渡せるか」にかかっています。そして都市全体で見れば、農園や緑地は雨を吸い込み、洪水と熱を和らげる“緑のインフラ”でもあります。一粒の野菜を育てることと、都市の水循環を健全に保つことは、同じ土の上でつながっているのです。

問題の入り口

雨はどこへ消えるのか——不透水面と都市型洪水

自然の地面では、降った雨の多くが土に浸透し、一部が蒸発散し、地表を流れるのはわずかです。ところが舗装率の高い都市では、雨の大半が土に入れず「表面流出(ランオフ)」となって側溝へ殺到します。短時間の豪雨で下水の処理能力を超えると、内水氾濫——いわゆる都市型洪水——が起こります。気候変動でゲリラ豪雨が増えるなか、この問題は世界中の都市で深刻化しています。

ここから先では、この「水が土に入れない」という現象の裏にある土壌と水の科学を一段深く掘り下げます。土の構造、水が動く物理、都市が土を壊す仕組み、そして健康な土を取り戻す原理。そのうえで後半では、こうした科学を都市計画として実装してきた世界各地の“吸う都市”の取り組みを訪ねます。

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