生物多様性・都市養蜂
生物多様性と送粉者(ミツバチ等)の視点は、屋上や街なかの小さな緑を『都市の生態系ネットワークの結節点』として価値づけます。企業のCSR・ブランディングとも接続しやすいテーマです。
180 件の事例
要点
- 収録 180 件が生物多様性・送粉者に関与。
- 屋上養蜂のはちみつは協働商品・食育に展開しやすい。
- 在来種植栽・無農薬・雨庭で都市生態系へ波及、CSRとも接続。
データから見えること
屋上養蜂や蜜源植物の植栽は、はちみつという分かりやすい成果物を生み、企業・店舗との協働商品や食育プログラムに展開しやすいのが強みです。一方で、適切な蜂群密度や近隣配慮など、専門知識と地域合意が前提になります。
在来種の植栽・雨庭・無農薬管理などを組み合わせると、送粉者だけでなく鳥や昆虫を含む都市の生態系へ波及します。グリーンインフラ(Eco-DRR・edible green infrastructure)の文脈で都市計画とも結びつきます。
代表的な事例
関連する事例を見る →イェディクレ・ボスタン(歴史的市民菜園)
TRIstanbul, Turkey
イスタンブール旧市街のテオドシウス城壁沿いに残る、ビザンツ・オスマン期から続く歴史的な市民菜園「ボスタン」。有機的な都市農業と固定種の継承を守りつつ、再開発計画に対して市民・農家・活動家が連携して保全運動を展開している。イェディクレ・マルル(レタス)は運動の象徴となっている。
anfenglish.com+4
都市協同農場MOST(ワルシャワ・シェキエルキ)
PLWarsaw, Poland
ワルシャワ中心部から25分ほどのシェキエルキ地区にある3.6haの都市協同農場。橋の計画で更地化され放置されていた旧菜園地を、住民が協同組合をつくって食べられる景観へと再生した。
culture.pl+3
coton なかせんば
JPOsaka, Japan
2025年3月に大阪・船場の久宝寺公園隣に開園した約153平米の都市型コミュニティ農園。名は綿(coton)と『co(ともに)+on』に由来し、船場の繊維産業の歴史と、綿のようにやわらかな人のつながりを願う。
coton-farm.com+2
麻布台ヒルズ 中央広場の果樹園・菜園・都市養蜂
JPMinato, Tokyo, Japan
2023年開業の麻布台ヒルズの大規模緑地に設けられた果樹園・菜園・都市養蜂の取り組み。約200㎡の果樹園で11種の果樹やハーブ・エディブルプランツを育て、子どもたちの採蜜体験や緑を育むワークショップを通じて、住民・ワーカー・市民が都心で農と食に触れる。
azabudai-hills.com+2
関連する研究
都市のための「ミツバチ計画」:都市緑地における花粉媒介者の多様性と植物-送粉者相互作用
ドイツの都市緑地における花粉媒介者の多様性と植物-送粉者相互作用を調査。都市のコミュニティガーデンは他の都市公園に比べ送粉者の個体数が有意に多く、農村部に匹敵した。自然に近い設計・管理と多様な花、小さな緑地の活用が都市を送粉者の生息地にする鍵だと示した。
Daniels B., Jedamski J., Ottermanns R. ほか · 2020 · PLOS ONE, 15(7):e0235492
都市・近郊農業ソースブック:生産からフードシステムまで
FAO・Rikolto・RUAFが共同刊行した、地方の意思決定者・都市計画者・実務者向けの包括的ガイド。都市・近郊農業を生産から都市フードシステム・政策へと位置づけ、短い流通による食品ロス削減、生物多様性保護、社会的包摂、都市-農村連携を推進する。
FAO, Rikolto, RUAF · 2022 · Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO), Rikolto & RUAF
屋上農業のシステムダイナミクスの展望:未来のグリーンシティに向けた水・エネルギー・食料ネクサスの相乗効果を促す行動
台北市の屋上農場を対象にシステムダイナミクスモデルを構築し、屋上農業がもたらす社会・環境的便益(食料アクセス改善、コミュニティのつながり、省エネ、洪水リスク低減など)を分析。水・エネルギー・食料ネクサスの相乗効果を高める実践的解決策として位置づけた。
Cheng C., Aviso K.B., Tan R.R. ほか · 2021 · Sustainability (MDPI), 13(16):9042
都市屋上農業(URTA)の環境的・社会的動態と微気候変化への影響
実験的な屋上農園と裸の屋根を比較し、気温・表面温度・室内温度・湿度・二酸化炭素濃度などの微気候パラメータを測定した研究。屋上農業が都市の微気候改善や新鮮な野菜供給に寄与すると同時に、都市住民の環境的・社会経済的便益をもたらすことを示した。
Begum M.S., Bala S.K., Islam A.K.M.S. ほか · 2021 · Sustainability (MDPI), 13(16):9053
ゲリラ・ガーデニングとグリーン・アクティビズム:インフォーマルな都市栽培運動の再考
ヨーロッパ・北米・アフリカにおけるインフォーマルな都市栽培(ゲリラ・ガーデニング)の実践を横断的に検討し、英国サルフォードの事例では行政が非公式の栽培を容認・奨励しはじめている状況を示す。隙間空間や遊休地を住民が無許可で緑化・食料生産する運動が、都市計画や緑地政策にどう取り込まれうるかを論じた。
Hardman M., Chipungu L., Magidimisha H. ほか · 2018 · Landscape and Urban Planning, 170:6-14