多様な生き物や微生物がいる場
送粉者・土壌生物が息づく都市の生態系
都市農園は、ミツバチなどの送粉者や土壌中の微生物を含む、都市の生態系ネットワークの結節点になります。小さな緑が生きものの居場所をつなぎます。
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この効果が表れている事例
メッタ・ガーデン/エコ・ガーデン(ECO-V、スリランカ・コロンボ近郊)
LKColombo (southern suburbs), Sri Lanka
劣化した荒れ地・不法投棄場所だった小さな土地を、環境NGOのECO-Vが2013年から再生した菜園。生ごみの堆肥化で土をつくり直し、敷地を「エコ・ガーデン(都市の小さな森)」と「メッタ・ガーデン(送粉者と昆虫のための庭)」の2つのゾーンに分けて、在来の食草を植えた蝶の庭と有機野菜の区画を併設している。
iucn.org
大手町農園(富山市民プラザ屋上)
JPToyama, Toyama, Japan
2018年から富山市民プラザのビル屋上でミツバチの養蜂とサツマイモ・枝豆などの栽培を行う都市農園。送粉者と都市環境への関心を高める食育・啓発の場となっている。
siminplaza.co.jp
丸の内ハニープロジェクト(大手町ビル屋上 都市養蜂)
JPChiyoda, Tokyo, Japan
三菱地所とエコッツェリア協会が大手町・丸の内エリアのビル屋上で展開する都市養蜂プロジェクト。エリアで働くワーカーが養蜂・採蜜・蜜源植物の植栽に参加し、採れた蜂蜜を地域に循環させる。屋上を活用した住民・ワーカー参加型の都市の『農・食・生物多様性』のまちづくり事例。
ecozzeria.jp+2
ペルグアエド コミュニティガーデン(タリン)
EETallinn (Põhja-Tallinn), Estonia
タリン北部の緑の回廊「送粉者ハイウェイ(Putukaväil)」沿い、コルデ大通りとエフテ通りの角にある、タリン最大かつ最も設備の整った市民共同菜園。既存の小さな菜園を土台に2024年春に大きく拡張され、レイズドベッド・個人区画・温室・果樹を備える。都市住民に「みんなで育てる喜び」を届け、環境意識とコミュニティ意識を育てることを目的に掲げる。
tallinn.ee+2
ランド・オブ・ドリームス 都市農園・文化センター(カナダ・カルガリー)
CACalgary, Canada
カルガリー南東部の公有地30エーカーにひらかれた都市農園。もとは工事用地だった。移民支援団体CCISが運営し、カナダに来たばかりの人たちが南部アルバータの気候で食べものを育てる術を学ぶ場になっている。ブラックフット族の長老ハーマン・メニー・ガンズの導きのもと、条約7号の土地であることを踏まえた学びを組み込む。土づくり、生物多様性、堆肥、養蜂と送粉者の世話を柱に据える。
youngagrarians.org+2
ブルックリン・グランジ
USNew York, United States
ニューヨークの複数のビル屋上で土耕の有機農園を運営する先駆的事業。商業生産と教育・コミュニティ活動を両立させ、都市の屋上農業のモデルとして世界的に知られる。
brooklyngrangefarm.com
裏づけとなる研究
都市の生物多様性のための生息地としての屋上緑化の役割とその設計による調整:レビュー
屋上緑化が都市の生物多様性をどの程度支えるかを、設計や利用方法の観点から既往研究を整理したレビュー論文。屋上緑化は植物だけでなく土壌生物や送粉者の生息地となりうるが、その効果は基盤の厚さや植生の多様性などの設計に強く左右されると指摘。設計指針に土壌生物群集を組み込み、屋根・景観スケールで不均質性を高めることを提言している。
Coulibaly S.F.M., Aubry C., Provent F. ほか · 2023 · Environmental Research Letters, 18(7)
麦わらによる被覆が菜園土壌の微生物多様性を高める
本プロジェクトは、米インディアナ州ラファイエットのErie Street GrowLocalコミュニティガーデンから採取した土壌を対象に、EcoPlateによる炭素源利用分析と16S rRNAシーケンシングを用いて、麦わら被覆が菜園土壌の微生物叢に与える影響を調べた。麦わら被覆は土壌の含水率を高め、細菌のアルファ多様性を有意に増加させ、炭水化物の利用選好が高まった一方、ベータ多様性には差が見られなかった。著者らは、麦わら被覆が土壌の微生物多様性と含水率を改善し、収量や食料品質の向上に寄与しうると結論づけている。
Emory Walker, Mara Welty, Emma Creviston ほか · 2025 · Urban Agriculture & Regional Food Systems
都市環境における拡張生態系の土壌微生物学的・化学的特性と人間による観察の補完的分析
本研究は、都市部の屋上庭園でシネコカルチャー法を用いて200種以上の植物種による高い生物多様性を実現し、2年間にわたり土壌微生物の多様性と活動、化学的特性を分析した。土壌微生物は設置後に多様性と活動が徐々に増加し、陽イオン交換容量と正の相関を示した。2年間の継続的な実践後、人間の主観的評価は客観的データと質的に一致することが示され、将来の研究において訓練された人間の主観性を生態系管理の評価指標の一部として組み込む可能性が示唆された。
Kousaku Ohta, Masatoshi Funabashi · 2021 · Measurement Sensors
都市土壌の生物多様性スクリーニングにおける行動バイオアッセイの一次アプローチとしての潜在的利用:パイロット研究
このパイロット研究は、ヨーロッパの3つの都市土壌における無脊椎動物および細菌群集の生物多様性のスクリーニング指標として、行動バイオアッセイの利用可能性を調査した。モデル生物の行動反応は無脊椎動物の生物多様性の減少と一貫して一致したが、これらの変化は微生物分析からは現れなかった。この結果は、都市土壌の健全性評価のための一次スクリーニングツールとして、動物相の多様性評価と組み合わせた行動バイオアッセイの利用を支持するが、微生物多様性との関連性についてはさらなる調査が必要であることを示唆している。
Lorenzo Federico, Valeria Tatangelo, Francesca Pittino ほか · 2026 · Urban Ecosystems