研究・論文
市民の都市農業・食育・コンポスト・福祉などに関する研究や報告書を集めています。
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批判的・否定的知見
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ワンヘルスの観点から見たボボ・ディウラソの市場向け菜園におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の存在
2026Dissinviel Stéphane Kpoda, Namwin Siourimè Somda, Muller Abdou Kiswendsida Compaore, Yemah Bockarie, Abel Tankoano, Ndoïallah Mickael Andjibaye, Amana Metuor-Dabire · Revista Argentina de Microbiología · Burkina Faso (Bobo-Dioulasso)
ブルキナファソ第二の都市ボボ・ディウラソの市場向け菜園で、レタス・灌漑水・有機質肥料(厩肥)から採取した環境検体135件を対象に、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の分布と病原性を調べた2026年の研究。分離された Staphylococcus 55株のうち16株(32.7%)が MRSA と確認され、PVL 毒素遺伝子が18.4%、TSST-1 が6.1% で検出された。オキサシリン耐性96.4%、フシジン酸耐性69.1% と高い耐性率を示し、著者は微生物モニタリングの強化、衛生手順の改善、都市農業に伴う食品由来リスクを抑える政策的介入が必要だと結論づけている。都市の菜園が食料と収入をもたらす一方で、灌漑水と有機質肥料を経由して薬剤耐性菌の環境リザーバーになりうることを示した、西アフリカからの実証である。
健康ESG投資ブームは「インパクトウォッシュ」だったのか
2026James Comtois · Institutional Investor · Global
国連責任投資原則(PRI)の署名機関は2006年の63機関・運用資産6.5兆ドルから、2019年には2,450機関・80兆ドルへ拡大した。記事はDemirerとZhangによる研究論文を紹介し、機関投資家のESG投資は「流行・評判への配慮・資金流入」に主に駆動された横並び行動であり、投資先企業のESG改善にも投資成績の向上にもつながっていないと論じる。記事執筆時点で世界のESGファンドへの資金流入は前年に50%減少し、四半期ベースで過去最大の120億ドルが引き揚げられている。
効果は限定的経済政策グローバル・インパクト投資ネットワーク
2026· Wikipedia · Global
GIINは2009年9月にニューヨークで設立された非営利組織で、共同創設者はアミット・ブーリとアントニー・バグレヴィン。2009年9月25日にクリントン・グローバル・イニシアティブの場でビル・クリントンにより公表された。インパクト投資の規模拡大と専門職化を目的に、会議の開催、市場調査、インパクト測定基準IRIS(2009年開始、2019年にIRIS+へ)、Operating Principles for Impact Managementの運営を担う。2025年6月時点の会員は421社、2022年の収入は1,648万ドル、総資産は1,697万ドル。Operating Principles には2025年3月時点で40か国186社が署名している。
経済政策都市のコミュニティガーデンを守るデータ基盤をつくる:フィラデルフィア・ガーデン・データ・コラボラティブの教訓
2026Kremer, Peleg, Borowiak, Craig, Scolio, Madeline · Journal of Agriculture, Food Systems, and Community Development · 米国(ペンシルベニア州フィラデルフィア)
米国の都市のコミュニティガーデンは、地域の福祉に不可欠で都市の社会インフラの一部でありながら、借地の不安定さ・ばらばらな政策支援・構造的な投資不足のせいで極めて脆い、という矛盾を抱えている。本稿は、フィラデルフィアで市民が管理する緑地を記録・保護・擁護するために複数の主体が集まった「フィラデルフィア・ガーデン・データ・コラボラティブ(PGDC)」を、当事者研究者の立場から振り返った論考。草の根のマッピングから協調的なデータ管理へと発展した過程をたどり、それが保安官競売による立ち退きの阻止といった緊急対応と、長期的な保全戦略の双方を可能にしたことを示す。同時に、行政の無関心ゆえに菜園が「見えない」存在にされてきた場所で、可視化が新たなリスクを呼び込みうるという倫理的なジレンマも扱う。データは擁護活動を強め政策に情報を与えるが、確かな借地の仕組みと持続的な公的投資が伴わなければ菜園の将来は守れない、と結論づける。
制度・ガバナンスの不全コミュニティ政策食料主権・社会正義自分で食べものを育てること:食品ロス削減に欠けていた要素なのか?
2026Pearson, Natalie · British Food Journal · 英国(食を育てる人びとへの質的調査)
「自分で食べものを育てると食への感謝が高まるので家庭の食品ロスが減る」という主張は広く語られてきたが、それを正面から検証した研究は乏しい。本研究は、恵まれた条件にある家庭菜園実践者を対象にした質的調査をテーマ分析し、この関係が想定より複雑であることを示した。育てる・加工する・保存するそれぞれの段階で直面する困難のせいで、栽培がかえって食への感謝を下げ、食品ロスを生むこともある。一方で、栽培を簡単で手間のかからないものにすること、育てる人どうしが一緒に作業する機会をつくること、余った収穫を分け合う場を増やすこと、調理の技術を高めることによって、家庭菜園は食品ロス削減の有効な実践になりうると論じる。「自分で育てれば必ず食への感謝が高まりロスが減る」という前提を批判的に問い直した点に本研究の意義がある。
効果は限定的食品ロスコミュニティDIY・自作バイオ炭の施用量が、堆肥を入れた都市農業の土壌における微生物のはたらきと養分の動きを左右する
2026Gao, Si, Burce, Katrina, Smith, Laney, Espinoza, Nina, Melbourne, Alfred · Frontiers in Soil Science · 米国(カリフォルニア州ウェスト・サクラメント)
都市農業の土壌には肥沃度を高めるために堆肥がよく入れられるが、そこにバイオ炭を加えたときの反応が施用量によってどう変わるかはよく分かっていない。本研究は、ウェスト・サクラメントのコミュニティ農園 Three Sisters Gardens で、堆肥を入れたトウモロコシ・カボチャの区画にバイオ炭を0・10・20・30 t/haで施し、生育後期の土壌の物理・化学・生物指標を調べた圃場試験である。中程度の施用量(10〜20 t/ha)では団粒の安定性と土壌呼吸が高まり、最も多い30 t/haでは微生物バイオマス、糸状菌/細菌比、窒素・リン循環に関わる細胞外酵素活性が最も強く増加した。一方、土壌pHと陽イオン交換容量には処理間で有意差がなかった。回帰分析では、養分の可給性は土壌の化学性そのものよりも微生物指標との結びつきが強く、バイオ炭による養分動態の変化が微生物を介して起きていることと整合的だった。この傾向は作物ごとの違いを越えておおむね共通していた。
コンポスト有機資源循環生物多様性論文は毎週増えています
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ベルギー・フランドル地方の家庭菜園と気候変動適応——庭の使われ方、庭の構成、適応の障壁
2026Teerlinck J., Dewaelheyns V., Wittemans K., Tzoulas K., Raymaekers P., Cavan G., Steen T., Somers B. · Urban Forestry & Urban Greening · Belgium (Flanders)
ベルギー・フランドル地方の家庭の庭を対象に、庭がどう使われているか、どんな要素で構成されているか、そして気候変動への適応を妨げているものは何かを扱った論文。都市の緑の大きな部分を占めながら個人の裁量に委ねられている家庭の庭を、適応の資源として捉え直す視点に立つ。※本項の記述は出典の書誌情報と題目に基づく。分析の具体的な数値・結論は本文を参照のこと。
気候変動生物多様性都市周縁の農地を守る土地利用政策の道具としての都市農——トルコ・エルズルムのグリッド単位の分析
2026Karasungur S., Yavaş M. · Land Use Policy · Türkiye (Erzurum)
都市農を、都市の周縁にある農地を市街化から守るための土地利用政策の道具として位置づけ、トルコ・エルズルム市を格子(グリッド)単位で分析した論文。都市農を「都市のなかで食べものをつくる活動」としてだけでなく、農地転用を抑える制度上の手段として扱う点が特徴。※本項の記述は出典の書誌情報と題目に基づく。分析の具体的な数値・結論は本文を参照のこと。
政策近郊農業タンザニア・ダルエスサラームの都市・近郊農業におけるジェンダー動態
2026Chifunda Emmanuel Felix, Kifunda Christina Felix · Cogent Food & Agriculture · タンザニア
ダルエスサラームの都市・近郊農業を、そこで働く人びとのジェンダーの観点から扱った論文。書誌情報(著者・掲載誌・DOI)は出典で確認したが、本文の要旨は取得できていないため、ここでは主題の範囲のみを記す。
コミュニティ近郊農業経済ポーランドとチェコの都心部における緑の貯水池としての家族菜園(ROD)
2026Rduch Paulina, Hodor Katarzyna, Wilkosz-Mamcarczyk Magdalena · Cities · ポーランド・チェコ
ポーランドのカトヴィツェとチェコのブルノを対象に、家族菜園(ポーランドの ROD にあたる区画型市民農園)が都心の緑地としてどう機能しているかを、制度と法規制の面から検討した論文。統計と地図のデータをもとに、都市部の市民農園の面積が減少傾向にあることを示している。
制度・ガバナンスの不全コミュニティ政策生物多様性日々の環境スチュワードシップ:インド・ベンガルールの都市家庭菜園を理解する
2026Bhaskaran Varsha, Nilon Charles H. · Urban Forestry & Urban Greening · インド
ベンガルールの家庭菜園を、住民による日常的な環境の世話(スチュワードシップ)としてとらえた論文。書誌情報は出典で確認したが、本文の要旨は取得できていないため、ここでは主題の範囲のみを記す。著者らは同市の家庭菜園と都市の野生生物との関係についても継続的に研究している。
コミュニティ生物多様性不均等な土壌:都市の学校菜園ネットワークにおける土壌鉛濃度の空間分析(米国ニューヨーク州ブルックリン)
2026Oyewole Michelle T., Pellow David N., Cassels Susie · Environmental Justice · 米国
菜園活動をしているブルックリンの公立学校31校で、菜園と隣接する校庭の土壌を蛍光X線分析にかけ、鉛濃度を測った研究。既知の環境汚染源306か所との距離を地理統計で解析し、人口統計・土壌管理の調査と合わせて関連を検討している。採取した土壌試料の42%が、鉛の発生源近くにある子どもの立ち入る土壌について米国EPAが定めるスクリーニング下限値(100ppm)を超えていた。菜園の土は隣接する校庭の土よりも平均鉛濃度が低かった。塗料や水道水の鉛に比べ、学校の土壌の鉛と汚染の偏りは注意が向けられてこなかった、と指摘する。
汚染・食品安全食育健康政策ロサリオの都市農業の「先史時代」——モデル事業の起源
2026Ricardo Robins · Fundación Rosa Luxemburgo (Oficina Buenos Aires) · Argentina
ロサリオ都市農業プログラム(PAU)の起源を、創始者アントニオ・ラトゥーカへの現地取材で辿るルポルタージュ。1987年にサラディージョ・スール地区で始まった最初の共同菜園、1990年の「共同菜園プログラム」制定条例、2002年のPAU正式発足という流れを描き、現在は12の公園・共同菜園が約40haに広がり、150世帯以上が年間およそ65万kgの有機野菜を収穫していると報告する。2008年開業のパルケ・ウエルタ・タブラダ(3ha、従事者20人)の現況にも触れる。
コミュニティ政策都市農村連携経済農園・公園農園での研修訪問の実施(ロサリオ市)
2026Municipalidad de Rosario · Municipalidad de Rosario · Argentina
ロサリオ市の行政手続きページ。団体・法人向けに、市内の菜園・パルケ・ウエルタを訪問しアグロエコロジーの取り組みを学べる無料の研修訪問を、社会経済次官室の生産スペース調整課が案内している。市内6つの地区行政センターで毎週水曜9時〜13時30分に予約を受け付け、法的根拠として2004年の政令2561号と2013年の条例9044号を挙げる。
食育政策コミュニティ収穫祭2026(フェスティバル・デ・ラ・コセチャ)
2026Municipalidad de Providencia · Municipalidad de Providencia · Chile
サンティアゴ・プロビデンシア区が主催する「収穫祭2026」の告知記事。2026年6月20日10時〜18時、Padre Mariano 140のEspacio Verde Urbanoで開催される無料の家族向けイベントで、旬野菜・種子・手工芸品の生産者市、シェフによる調理実演、家庭菜園ワークショップ、人形劇、巨大カボチャコンテスト、音楽演奏などが予定されている。
コミュニティ食育食料流通・フードマイルコミュニティ農業における政治化の跡をたどる——参加型マインドマップの記号論的分析
2026Aguiari I. · Agriculture and Human Values · イタリア
食と農をめぐる議論では、新自由主義的なガバナンス・技術官僚的な規制・消費者向けの解決策が政治性を薄めると指摘されてきた。草の根の取り組みの集合行動を扱う研究は増えたが、政治化がどう立ち上がるかの過程は手薄だった。著者は政治を社会関係に常に内在する次元とみなす立場から、日常の対話のなかで政治化と脱政治化がどう進むかを記号論で分析する。イタリアの3つのコミュニティ農業の取り組みと共同でマインドマップづくりのワークショップを行い、言語の機能を手がかりに追跡した。関係的なやりとり、文脈に沿った解釈、象徴的な表現、集合行動への志向が互いを強め合う場では政治化が進みやすい、という結果を示す。
コミュニティ政策食料主権・社会正義ストリートフード——アフリカにおける都市化と農業
2026Nkrumah B. · Urban Science · アフリカ(都市部・系統的レビュー)
アフリカの都市に耕作可能な土地が広くありながら飢餓が続く矛盾を、系統的レビューで検討した。市場で買う食料への強い依存・高い貧困率・急速な都市化のもとで食料不安が高まっているのに、都市住民の多くが自分で食料を作らないのはなぜかを問う。PRISMA法と5つの選定基準で査読済みの文献を絞り込み、都市農業への参加が広がらない理由をめぐる議論を整理している。
効果は限定的政策食料主権・社会正義コミュニティインドネシアにおける住民主体の都市食料生産——縦型プランター塔を垂直の景観要素として評価する
2026Hadi A.A., Pratiwi P.I., Budiarti T., Arifin H.S., Pratiwi N.K., Alhakim M.A. · Tájökológiai Lapok · インドネシア・ボゴール(都市部・近郊)
急速な都市化で農地が減り新鮮な野菜が手に入りにくくなった状況を背景に、縦型のプランター塔(ガーデンタワー)を住民主体の野菜生産の手段として評価した研究。ボゴール市とその近郊で女性農業グループ21組に105基を配り、記述的・評価的な手法で性能を調べている。狭い場所を使う垂直の景観要素として、食料の入手しやすさと社会・生態のレジリエンスにどう効くかを論じる。
DIY・自作コミュニティ食育都市インフラとしての環境制御農業——空間的公平をめぐる公共的アジェンダへ
2026Rao X., Zahid A., Ye X., Jain D., Duffield N. · Urban Informatics · 国際(論考)
環境制御農業(CEA)は都市の食料安全保障への高度技術的な解として現れたが、ベンチャー資本と利益最大化に引っぱられた結果、規模の拡大は限られ、作る作物の幅も狭く、空間的公平——都市の地理のなかで食のインフラが公平に配られること——にほとんど向き合ってこなかったと指摘する論考。CEAを単独の技術的解決策ではなく都市インフラの一部として位置づけ、食の公正・公衆衛生・環境レジリエンスへの相乗効果を生む方向へ転換すべきだと主張する。
公平性・立ち退き政策経済コミュニティ公平性を軸にしたコミュニティガーデンの適地評価——フロリダ州タンパベイのGIS多基準分析
2026Hinch J. · Southeastern Geographer · 米国フロリダ州タンパベイ
社会経済・立地条件・環境の変数をひとつのGIS多基準意思決定分析(MCDA)モデルに統合し、タンパベイ都市圏の国勢調査地区ごとにコミュニティガーデンの適地を評価した。適性の高い地区はヒルズボロ郡とピネラス郡にある程度かたまり、既存の菜園の分布とモデルの適性評価は中程度に一致した。公平な都市農業計画に空間モデルが使える面と、使いきれない限界の両方を示している。
方法論への批判政策コミュニティ南アフリカ都市農業における低所得農家と水耕栽培の成立条件——都市政治生態学からの検証
2026Noxolo B.M., Kanosvamhira T.P. · Urban Agriculture & Regional Food Systems · 南アフリカ・ケープタウン(低所得地区)
人口が密集した地区では土地が足りず、水耕栽培への関心が集まる。それがケープタウンの低所得地区で本当に成り立つのかを調査票と聞き取りで検証した。研究の蓄積がグローバル・ノースの都市に偏っている点を補う位置づけ。農家が挙げた利点は収量の改善・節水・限られた土地の効率利用。いずれも水不足と狭さを抱える市内で価値を持つ。一方で初期投資の高さと行政支援の乏しさという障害が残る。都市政治生態学の視点を用い、この金銭的・制度的な壁が歴史的に作られた不平等と資本主義的な都市開発の力学に根を持つと論じる。結論として、水耕栽培は持続可能な選択肢としての可能性はあるがコストが高く適用範囲が広がらず、資源配分が不均等な低所得地域の食料安全保障を担う大規模な代替手段としてはまだ成り立たないとする。財務的な実現可能性と地域の技術的知見という制度的課題に支援側が向き合うことが前提条件になる。
事業採算・継続性経済政策食料主権・社会正義収量の先へ——エネルギー・水・コスト・炭素を統合した屋内型垂直農園の成立条件の指標化
2026Ceccanti F., Bischi A., Desideri U., Baccioli A. · Energy Conversion and Management · 国際比較(トロンハイム・上海・ドバイを想定したモデル計算)
垂直農園の経済性をめぐる既存研究が簡易モデルに頼ってきた点を補い、入力条件ひとつひとつが効率・持続可能性・経済的成立性をどう動かすかを詳細なモデルと感度・相関分析で切り分けた。温度・光合成有効光量子束密度(PPFD)・CO2濃度を各3水準、断熱厚を2水準とし、社会環境の条件が異なるトロンハイム・上海・ドバイの3地域で計162シナリオを試算。空調と除湿が効くため、断熱や外気候にかかわらず収量は最適に保てる。成長を最も左右するのはPPFD(相関0.85)。CO2(0.36)・温度(0.22)が続き、PPFDはエネルギー消費の主因(0.73)にもなる。単位面積あたりのエネルギー消費が最小になる条件は収量も最小(55kg/m2)という裏表の関係にあり、レタスの均等化生産費が最も安いのは24℃・PPFD 250μmol/m2s・CO2 1400ppm・断熱ありの組み合わせ(102kg/m2)だった。輸入レタスよりCO2排出を増やさずに垂直農園を回せるのは脱炭素化されたエネルギー系統のもとだけだと結論づける。
環境負荷のトレードオフ経済気候変動食料流通・フードマイルオクラホマ州の園芸作物生産と地域食料システムを阻むもの
2026Darrow S., Kathi S., Liebe R., Cline L.L., Moss J.Q. · Urban Agriculture & Regional Food Systems · 米国オクラホマ州(農村・都市・近郊)
オクラホマ州の園芸作物部門が縮小を続けている。野菜経営は2007年の799件から2022年に482件へ減った。それでも地域の果樹・野菜生産者がファーマーズマーケット・フードハブ・直販の供給基盤であり続けているため、生産者の経営が立たなくなること自体が都市・近郊の食料アクセスと公衆衛生の問題になる——生産基盤が縮めば都市の食環境が弱り、フードデザートが広がり、地元産の入手が細る。この問題設定のもと、資源配分の判断材料をつくる目的で州内の農村・都市・近郊から経験ある果樹・野菜生産者29名を集め、半構造化フォーカスグループを5回実施。NVivoでオープンコーディングし、セッションを重ねて飽和を確認した。メンバーチェック・コードの相互査読・フィールドノートの三角測量で妥当性を担保している。180の初期コードを10の親コードに整理し、(1)生産をめぐる対抗文化的な思想、(2)生産者が使える資源の不足、(3)産業側にある発展阻害要因という3つの主題を抽出。文化・制度・構造の各層で不利が積み重なる構図を示し、州全体の地域食料システム計画の策定・生産者協会の設立・地域食料システム専任の普及職の配置を提言する。
事業採算・継続性経済政策都市農村連携都市圏における環境制御農業の計画と実装——6つのシナリオの比較
2026Glaros A., Newell R., Pizzirani S., Newman L. · Urban Transitions · カナダ・ブリティッシュコロンビア州ローワーメインランド(都市圏)
カナダ・ブリティッシュコロンビア州ローワーメインランドを事例に6つの実装シナリオを比較し、環境制御農業(CEA)をどこに置き何を優先するかで結果がどれだけ振れるかを検討した。土地利用上の制約と事業側の優先目標からシナリオを定義し、その内容に応じてモデルの評価基準へ重みを与える設計。地理空間モデリングにより、CEAの候補地から徒歩圏にある人口のうち葉物野菜の1日必要量を賄える割合を推計し、収量・エネルギー使用量・水使用量・土地の節約効果も併せて算出している。全シナリオを通じた供給可能割合は近隣人口の4%から100%超まで幅が開き、超ローカルな食料供給の可能性と、立地や目標設定の置き方で成果が大きく変わることの両方を示す。
政策経済食料流通・フードマイルサブサハラ2都市の都市農業——動機・土地アクセス・法制度の壁
2026Kanosvamhira T.P., Magidi M. · International Journal of Agricultural Sustainability · 南アフリカ・ケープタウン/ジンバブエ・ノートン
ケープタウン(南アフリカ)とノートン(ジンバブエ)という対照的な2都市で、都市農業の動機・運営実態・土地アクセス・法制度を関係者への聞き取りと政策分析から比較した質的事例研究。社会関係資本論を分析の枠組みに据える。ケープタウンでは行政と市民社会の支援を受けて半ば制度化が進み、フードジャスティスやコミュニティ開発という大きな議題のなかに位置づけられている。ただし実務者は土地の確保・都市政策の断片化・空間をめぐる競合という制約に直面する。対照的にノートンの都市農業はほぼインフォーマルで、慢性的な社会経済の困難に対する生存戦略として営まれる。公的支援はほとんど無い一方で規制は比較的緩く、代わりに土地保有の不安定さと立ち退きの脅威が切実な問題になる。両都市の分岐から、文脈に即した法制度・安定した土地権利・包摂的な都市計画こそが都市農業を成り立たせる条件だと結論づけ、土地ガバナンスと都市インフォーマリティをめぐる議論に接続する。
制度・ガバナンスの不全政策食料主権・社会正義経済