研究・論文
市民の都市農業・食育・コンポスト・福祉などに関する研究や報告書を集めています。
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批判的・否定的知見
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持続可能な農業と食料システムの環境・経済・社会的影響を読み解く——レビュー論文
2024Rosli Muhammad NAIM, Maisarah Abdul MUTALIB, Aida Soraya SHAMSUDDIN, Mohd Nizam LANI, Indang Ariati ARIFFIN, Shirley Gee Hoon TANG · Frontiers of Agricultural Science and Engineering · Global
持続可能な農業・食料システムに関するレビュー論文。持続可能な農業を、当面の需要に応えつつ将来世代の需要充足能力を損なわない一連の農法群と位置づけ、生産性維持・汚染削減・経済的持続性を主目的とする。既存研究は気候レジリエンスの向上、温室効果ガス排出の抑制、水質改善、生物多様性の促進、土壌肥沃度の向上、農村生計の強化などの便益を報告する一方、移行に伴う多額のコスト、政策目標間の対立、従来手法の根強い影響という課題も挙げる。アグロフォレストリー、アグロエコロジー、都市農業、農民間の知識共有、生態系サービス支払い、サプライチェーン短縮などの戦略が進展を後押しうるが、その成否は適切な政策・インセンティブの提供次第だとしている。
政策気候変動経済Pocketful of Sunshine——Funanの屋上都市農園
2024CapitaLand · CapitaLand · Singapore
シンガポールの複合施設Funanの屋上には約18,000平方フィートの都市農園があり、Edible Garden Cityが運営してキノコ・食用花・スイカなど50種類以上の果物・野菜を栽培している。CapitaLandはこの取り組みを含む複数物件の緑化を、景観向上だけでなく省エネ・空気質改善・従業員のウェルビーイング向上といった機能的便益を伴う施策として位置づけている。
都市農村連携生物多様性コミュニティ食育屋上緑化の灌水判断支援のための基盤水分量と室内温度低減量の統合モデル開発
2024Pei-Yuan Chen, Chuan-Ching Pang, Guan-Yi Sung · Heliyon · Global
本研究は、蒸発散量と基盤(土壌)水分の変動が緑化屋上の室内温度低減に与える影響を分析し、運用段階向けの実測ベース重回帰モデルと、計画段階向けの水文・建築エネルギーシミュレーションを統合したモデルの2種を開発した。運用モデルはRMSE0.64℃・調整R²0.55、計画モデルはRMSE1.02℃・調整R²0.80で、夏季の最大室内温度低減は10.65℃、平均で5〜6℃に達したと報告する。
気候変動デジタル農業経済垂直農業
2024· Wikipedia · Singapore
英語版Wikipedia「Vertical farming」の記述によれば、シンガポールのSky Greens Farmsが2012年に世界初の商業垂直農場を開設した。3階建てで、高さ9メートルのタワーを100基以上備える。都市型垂直農業が商業化された起点として言及される。
デジタル農業経済都市農村連携グローバルサウスの都市栄養:現行研究のナラティブ・レビュー
2024Neetu Choudhary, Alexandra Brewis · Journal of Urban Health · Global South
低・中所得国の都市の食と栄養に関する研究169本を対象としたナラティブ・レビュー。都市農業は最も多く扱われるテーマで、食事多様性や食費への好影響が報告される一方、実際に都市農業を営んでいるのは貧困層ではなく比較的余裕のある層であり、土地へのアクセス制約から最貧層は恩恵から外れていることが指摘されている。あわせて、都市化に伴う加工食品・高脂肪高糖食品への移行(栄養転換)と、低栄養と過体重が併存する「栄養の二重負荷」が確認された。現金給付は危機時に一定の効果を示すが、社会保障だけでは食料不安を解消できないとする。ジェンダー、水・衛生との関連、都市内の公平性、地方自治体の役割の4点が研究の空白として挙げられている。
健康政策経済ガーナ・大アクラ都市圏の有機質土壌改良資材におけるマイクロプラスチック汚染とその特性の評価
2024Benedicta Yayra Fosu-Mensah, Nathanael Nii-Odai Laryea, Daniel Darko, Michael Mensah · Heliyon · Ghana (Accra)
1日約2,291トンの都市ごみ(うち約14%がプラスチック)が発生するガーナ・大アクラ都市圏で、市販の都市ごみ堆肥2種と乾燥下水汚泥2種、および参照土壌を各5反復で分析した研究。マイクロプラスチック濃度は汚泥1が4,316±968個/kgで最も高く、都市ごみ堆肥1が3,572±1,196個/kg、堆肥2が3,104±418個/kg、汚泥2が2,024±562個/kg、参照土壌は232±62個/kgだった。主な樹脂はポリエチレン・ポリエステル・ポリプロピレン。都市の有機性廃棄物を農地に還す循環には、土壌と作物にマイクロプラスチックを持ち込む副作用があることを示す。試料採取地点は5か所のみで、樹脂同定はFTIRを1割の副試料に適用したにとどまる点が限界。
コンポスト有機資源循環健康論文は毎週増えています
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INDIGOの節目——インパクトボンド300件、そしてなお増え続ける
2024Government Outcomes Lab, University of Oxford · Government Outcomes Lab (GO Lab), Blavatnik School of Government, University of Oxford · Global
2024年11月5日公開。オックスフォード大学のGovernment Outcomes Labが運営するINDIGOインパクトボンド・データセットの収録件数が300件に達したことを伝える記事。同データセットはこの種のものとしては世界最大のオープンアクセス資源だとされ、政府・実務者・投資家・研究者が標準化された形式でデータを共有できるようにしている。成果連動型資金(Outcomes-Based Financing)のパイプラインは過去3年で3倍以上になり、南アジア・東南アジア・アフリカ・欧州・英国の実務者8名が、事業設計や研究にINDIGOを使っていると証言している。
政策経済自家消費用菜園プロジェクト
2024Alcaldía de Medellín (Secretaría de Inclusión Social y Familia) · Alcaldía de Medellín · Colombia
メデジン市社会包摂・家族局が実施する自家消費用菜園プロジェクトを紹介する記事。研修ワークショップ、農業資材の提供、技術訪問を組み合わせて家庭菜園の設置を支援しており、670世帯が恩恵を受けている。参加者は予定された7回の教育集会のうち最低5回への出席が資材・生産物受給の条件となっている。
DIY・自作食育福祉ProHuerta閉鎖:種子の購入・配布は市町村の担当に
2024· LCR Diario Digital · Argentina
アルゼンチン国家人的資本省が2024年3月にProHuerta(家庭菜園向け無償種子配布の国家プログラム)を打ち切ったことを報じる地方紙記事。リオネグロ州ビジャ・レヒーナ管内では、代わりに自治体(バジェ・アスル)が春夏用種子キット100個を購入・無償配布することにしたと伝える一方、INTA(国立農牧技術院)は種子調達の予算を失いつつも、土壌改良や病害虫対策の技術指導・相談対応は無償で継続していると報告する。
制度・ガバナンスの不全政策福祉都市農村連携経済ブエノスアイレス州都市農園プログラム
2024Ministerio de Desarrollo Agrario, Provincia de Buenos Aires · Ministerio de Desarrollo Agrario, Provincia de Buenos Aires · Argentina
ブエノスアイレス州農業開発省が2024年後半に開始した「ブエノスアイレス州都市農園プログラム」の公式案内ページ。学校・病院・社会団体などが持つ、または計画する40平方メートル以上の共同菜園を対象に、研修・苗木の提供や伴走支援を行い、自治体向けには育苗場の開設・強化も支援するとしている。初年度は主に学校・団体・病院の共同菜園を対象に実施したと記す。
政策コミュニティ食育福祉脆弱な集団に対するコミュニティガーデニングの主要な便益と特徴の特定:系統的レビュー
2023Tracey D., Gray T., Sweeting J., Kingsley J., Bailey A., Pettitt P. · Health & Social Care in the Community (Wiley/Hindawi), 2023:5570089 · Global
社会経済的に不利な層や文化的に多様な層など脆弱な集団に対するコミュニティガーデニングの便益を初めて系統的に整理したレビュー。33研究を分析し、社会的つながり・健康・教育・栄養が最も多く報告された便益であり、社会的包摂と福祉に資することを示した。
福祉コミュニティ健康食育米国における公平な有機廃棄物・堆肥・都市農業システムがもたらす政策とコミュニティへの示唆
2023Hall S.M., Tikku V., Heiger-Bernays W.J. · Environmental Health Perspectives, 131(11):115001 · Global
米国4都市の生ごみ堆肥化の取り組みと法制度を事例に、都市の有機廃棄物循環における公平性と安全性を検討。堆肥に含まれる残留農薬・鉛・PFASなどの汚染リスクや規制の不統一が、都市農業用地や安全な堆肥への人種的アクセス格差を悪化させうると指摘し、多言語の教育や適正な廃棄物処理を組み込んだ正義志向の政策を提言した。
コンポスト有機資源循環政策食品ロスコミュニティ都市の生物多様性のための生息地としての屋上緑化の役割とその設計による調整:レビュー
2023Coulibaly S.F.M., Aubry C., Provent F., Rousset-Rouvière S., Joimel S. · Environmental Research Letters, 18(7) · Global
屋上緑化が都市の生物多様性をどの程度支えるかを、設計や利用方法の観点から既往研究を整理したレビュー論文。屋上緑化は植物だけでなく土壌生物や送粉者の生息地となりうるが、その効果は基盤の厚さや植生の多様性などの設計に強く左右されると指摘。設計指針に土壌生物群集を組み込み、屋根・景観スケールで不均質性を高めることを提言している。
生物多様性政策有機資源循環ガーデンにおけるハチ研究の50年を評価する
2023Bell N.C.S., Ascher J.S., Hayes J.J.-M., Langellotto G.A. · Frontiers in Sustainable Cities, 5:1102360 · Global
都市・コミュニティガーデンにおけるハチ研究の約50年を体系的に整理したレビュー。2022年初頭までに発表された227本の論文を対象に、ガーデンが多様なハチ群集を支える可能性と、市民が育てる緑地が花粉媒介者保全に果たす役割、研究上の空白を明らかにし、今後の都市の送粉者保全と市民参加型モニタリングの方向性を示している。
生物多様性コミュニティ政策競争市場における垂直農法の経済性
2023Moghimi F., Asiabanpour B. · Clean Technologies and Environmental Policy 25:1837-1855 · Global
競争市場下での垂直農法の経済的見通しを定量モデルで初めて評価。投資・運用コストと市場価格の関係から収益性条件を分析し、エネルギーコスト低減が利益率を左右することを示す。
経済商業的都市農業ラベリングの光と影
2023Chicoine M., Rodier F., Durif F. · Agriculture and Human Values 40(3):1153-1170 · Global
企業が「都市農業」を製品ラベルやマーケティングに用いる戦略の利点とリスクを消費者視点から分析。商業利用とブランド価値の関係を検討。
経済食育垂直農業:食料安全保障の強靭性と持続可能性を高めるスマート都市農業
2023Oh S., Lu C. · The Journal of Horticultural Science and Biotechnology 98(2):133-140 · Global
IoT等の先端技術を用いた商業垂直農業の発展を概観し、食料安全保障への寄与と事業としての持続可能性・収益性の課題を論じたレビュー。
経済政策都市環境における市民農園・コミュニティ農園の役割と発展の課題:文献レビュー
2023Kwartnik-Pruc A., Droj G. · Land (MDPI), 12(2):325 · Global
1978〜2022年の査読論文162本を体系的にレビューし、市民農園・コミュニティ農園の役割を「コミュニティ・健康・経済・汚染・都市計画・持続可能な環境」の6テーマで整理した研究。生態面では、農園が生息地のモザイクを生み出し都市の生物多様性のレフュジア(避難場所)として機能し、都市農業が植物多様性を豊かにして在来・農業由来の生物多様性の保全に寄与すると総括。緑地の再生やヒートアイランド緩和とあわせ、農園を都市グリーンインフラの一部として計画・制度面から支える必要性を指摘する。
生物多様性コミュニティ政策都市化・アグリフードシステムの変容と都市-農村連続体を横断する健康的食生活
2023FAO · FAO — background paper for SOFI/SOFA 2023 · Global
低・中所得国の都市人口が年率3%で増加。都市-農村連続体を横断した食料需給・食料安全保障・食生活を実証分析し、都市化が健康的食生活へのアクセスに与える影響を多国比較する。
健康政策食料システムのレジリエンス構築における都市農村接続の役割
2023Berkhout E., Sovová L., Sonneveld A. · Sustainability (MDPI) 15(3), 1818 · Global
都市農村接続をレジリエンスの4次元(agency・buffering・connectivity・diversification)で分析。中規模都市を農村食料供給の重要ハブとして位置づけ、COVID-19後の中低所得国食料システムへの示唆を導く。
都市・近郊農業の統合的文献レビュー:研究テーマと今後の方向性
2023Srinivasan K., Yadav V.K. · Sustainable Cities and Society · Global
2002〜2022年の都市・近郊農業文献を統合レビュー(計量書誌学)。食料安全保障・地域食料システム・持続可能農業が主要テーマ、IoT・レジリエンス・LCAが新興テーマとして台頭していることを示す。
戦後からCOVID-19危機までの世界食料安全保障における都市・近郊農業の役割
2023Bertolini A.M., Jaime P.C., Di Giulio G.M. · Saúde e Sociedade (SciELO), 32(3):e230330 · Global
戦後からCOVID-19危機までの都市・近郊農業の食料安全保障への貢献を歴史的にレビュー。食料正義・グローバルヘルスの観点から都市農村食料接続を再評価する。
健康ベルギー・ブリュッセルにおける公正で持続可能なアグリフードシステムへの移行に向けた共創型研究
2023Hermesse J., Vankeerberghen A., Lohest F., Truyffaut A. · Frontiers in Sustainable Food Systems · Belgium (Brussels)
本研究は、ブリュッセルのCo-Createプログラム(2015〜2018年)が支援した6つのトランスディシプリナリーな参加型研究プロジェクトを検討した。都市農業生産、食料流通、持続可能な食料への公平なアクセスの3領域を扱い、研究者、市民、協会、行政機関が共同で知識を生産した。制度的支援や法整備、食料関連セクター間の体系的な調整の必要性が政策提言として示された。
コミュニティ食育政策都市近郊園芸の多次元的パフォーマンス——アグロエコロジーへの移行と土壌健全性の評価
2023Sokolowski A.C., Álvarez V.E., Mangiarotti A., Gonçalves Vila Cova C. · Agroecology and Sustainable Food Systems · Argentina (Buenos Aires)
ブエノスアイレス近郊の家族農場を対象に、TAPE(アグロエコロジー性能評価ツール)と土壌物理・化学・生物学的指標を用いて、アグロエコロジー型農場と慣行農場のパフォーマンスを比較した。自己申告によるアグロエコロジー農場は、団粒安定性や土壌有機炭素などの土壌健全性指標で有意に高いスコアを示した。アグロエコロジーへの移行が土壌の質向上に貢献することが実証された。
有機資源循環コミュニティ生物多様性持続可能な都市開発の推進:コロンビア・ボゴタにおける小規模有機都市農業の役割に関する事例研究
2023Riaño-Herrera D.A., Varela-Martínez D.A., Chenet J.G., García-García D.A., Díaz-Verus S.D. · Sustainable Cities and Society · Colombia (Bogotá)
本研究はボゴタにおける屋上有機農業の11カ月間の生産性を詳細に分析し、336株の野菜を収穫して82.1%の相対収量を達成したことを報告している。レタスやルッコラなどが4.1 kg/m²の収量を示し、432プロジェクトを通じて11,553家族への食料自給の可能性が実証された。小規模有機都市農業が持続可能な都市開発に寄与できることが示された。
有機資源循環コミュニティ経済健康