研究・論文
市民の都市農業・食育・コンポスト・福祉などに関する研究や報告書を集めています。
テーマ
批判的・否定的知見
2201 件(20 / 89)
都市アグロエコシステムにおける有益節足動物の促進——花に注目し、在来植物には注目しない
2023Stacy M. Philpott, Azucena Lucatero, Sofie Andrade, Cameron R. Hernandez, Peter Bichier · Insects · United States (California)
米国カリフォルニア州の都市コミュニティガーデン(都市アグロエコシステム)を対象に、在来植物種の豊富さ、菜園管理、景観構成が、在来・非在来のハナバチ・テントウムシ・アリ・地表徘徊性クモの個体数と種の豊富さに与える影響を検証した研究。在来植物(種数では約10%、被覆率ではわずか約2.5%)は節足動物にほとんど影響を与えず、唯一の有意な効果は非在来クモの種数に対する負の影響であり、これは在来植物の被覆率の低さに起因すると考えられた。菜園の面積は在来・非在来ハナバチの個体数・種数と非在来クモの種数を増加させ、花の豊富さは非在来クモの個体数と在来・非在来クモの種数を増加させ、マルチ被覆と樹木・低木の量は非在来クモの種数を増加させた。自然生息地の被覆は非在来ハナバチと在来アリの個体数を高めた一方、在来テントウムシの種数はより少なかった。研究は、在来植物の種の豊富さは有益節足動物の個体数・種数に強い影響を与えないと結論づけている。
効果は限定的生物多様性コミュニティ食育飢餓との闘いと持続可能な都市の発展のための戦略としての都市農業
2023Tailana Fraga Lima, Ana Maria Girotti Sperandio · Revista Brasileira de Tecnologias Sociais · Brazil
文献調査と二次データ分析による記述的・質的研究を通じて、超加工食品の過剰摂取というブラジル国民の食生活が抱える課題を体系的に検討した論文。都市空間における農業と、食生活の再編・食料不安との関係を論じ、都市農業が公衆衛生上の問題(飢餓)の解決と都市空間の活用の両方に寄与する波及効果をもたらしうることを観察した。都市内の低利用・遊休地を菜園開発に活用することで、食習慣・行動の変化を伴う統合された都市空間の形成が促進され、健康的な都市を目指す都市計画と整合すると論じている。
食料主権・社会正義コミュニティ健康持続可能な発展のための教育——アリゾナ州ツーソンのコミュニティガーデン・プロジェクトがもたらす社会的便益
2023Nataliya Apanovich, Seth Asare Okyere, Stephen Leonard Mensah, Louis Kusi Frimpong · Societal Impacts · United States
米国アリゾナ州ツーソンのアリゾナ大学コミュニティガーデン(UACG)における地域密着型学習に参加した大学生を対象に、面接調査・参与観察・学生活動を通じて得られる社会的便益を検討した。その結果、コミュニティガーデンは参加学生に対し、他者との交流や自然とのつながりといった心理社会的便益をもたらしていることが明らかになった。
食育健康コミュニティティーチングキッチンにおける農業システムの役割——包括的レビューと今後への考察
2023Alexis R. Cole, Jennifer Pethan, Jason Evans · Nutrients · United States
米国における食事関連慢性疾患の蔓延を背景に、農場・コミュニティガーデン・垂直農法・都市農業を含む地域の農業と連携した「ティーチングキッチン」の役割を検討した統合的レビュー。農業システム、フード・イズ・メディシンの概念、消費者行動、各セクターの役割の現状を概観したうえで、ティーチングキッチンと農業の間の隙間を埋める事例を紹介する。ティーチングキッチンと農業プログラムの知見・資源を組み合わせる機会と、その過程で生じうる課題を整理している。
食育健康コミュニティリスクエリア居住コミュニティにおける都市農業の実現可能性(ブラジル)
2023Ana Carla Alves Gomes de Almeida, Maria Lúcia Brito da Cruz · Revista Geonorte · Brazil
ブラジル・フォルタレザ市を対象に、市が推進する「ソーシャル菜園(Hortas Sociais)」事業など危険区域(リスクエリア)における都市農業導入事例を、文献調査と現地訪問により検討した。結果は、危険区域の空き地への都市農業導入が不適切な占有の抑制策として機能しうることを示し、地方自治体の政策への組み込みを通じて都市貧困層への所得と食料供給に資すると結論づけた。
コミュニティ食料主権・社会正義福祉家庭菜園への技術応用(メキシコ・モレロス州)
2023Leonor Ángeles Hernández, Mónica Leticia Acosta Miranda, Julio Pérez Machorro, Daniel Domínguez Estudillo, Leidys Fernández Arias · IPSUMTEC. · Mexico
メキシコ・モレロス州東部地域を対象に、IoT(モノのインターネット)技術を用いた都市・家庭菜園の設計・構築プロジェクト。小規模農家、主婦、家族、高齢者を主な受益者とし、モバイル端末やパソコンから菜園を遠隔監視できるようにすることで管理の手間を減らすことを目指した。プロジェクトは開発途上の段階にあり、有機肥料と自動灌漑・モニタリングシステムを備えた異なる規模・作物の菜園プロトタイプを製作している。
デジタル農業コミュニティ食育論文は毎週増えています
あなたの関心のあるテーマが、来週追加されるかもしれません。世界の新着論文を毎週水曜、無料でお届けします。
都市農業・社会イノベーション・ガバナンス:ブラジル・フロリアノーポリス市の研究
2023André Augusto Manoel, Carolina Andion · Cadernos Metrópole · Brazil
ブラジル・フロリアノーポリス市を対象に、都市農業の実践が生み出す社会イノベーションの過程を検討した質的内在的事例研究。プラグマティズムの視座と公共アリーナのエスノグラフィーという分析枠組みを用い、同市の都市農業実践のフィールドマッピングから、有機固形廃棄物、適切な食料への人権、生産・消費サイクルという3つの異なる公共アリーナに位置づけられる社会イノベーションの力学を特定した。これらの結果は、社会イノベーション過程の複雑性と都市におけるガバナンスへの含意の理解に資するとされた。
コミュニティ政策緑化の実務者は「グリーン・ジェントリフィケーション」を懸念するが、多くはその対策を業務に組み込んでいない
2023Lorien Nesbitt, Daniel L. Sax, Jessica Quinton, Leila M. Harris, Camilo Ordóñez Barona, Cecil Konijnendijk · Ecology and Society 28(4): art29 · Canada (Metro Vancouver, Greater Toronto Area)
メトロバンクーバーとグレーター・トロントの都市緑化実務者51人を対象にしたオンライン調査。多くの回答者はグリーン・ジェントリフィケーションを「緑地の新設・改善が高所得の転入者を呼び込み地価を押し上げ、脆弱な住民の立ち退きにつながること」と定義した。緑化そのものをグリーン・ジェントリフィケーションの主因とみなす回答者が最も多く、他の構造的要因と緑化を副次的な要因として位置づける回答者は少数にとどまった。実務者は制度上の対応力不足・データや情報への限られたアクセス・政策や委任事項による制約・関与のためのツール不足など複数の障壁を挙げ、懸念があっても業務に反映しきれていない実態を示す。
公平性・立ち退き政策コミュニティNYCコンポスト政策の3つの失敗が示す、全米的な懸念すべき傾向
2023Jordan Ashby, Clarissa Libertelli · Institute for Local Self-Reliance (ILSR) · United States
NYCが2024年までに家庭系生ゴミの義務的分別収集を拡大すると発表した直後、市はコミュニティコンポスト事業への予算を全廃した。記事は、行政が「コンポスト」と称して実際は嫌気性消化を用いること、集中処理施設が特定地区に環境負荷を偏在させること、行政プログラムが地域コンポスト事業者の経営を圧迫することの3点を全米的な失敗パターンとして指摘する。
公平性・立ち退きコンポスト政策コミュニティ経済P-Patchプログラムの歴史
2023Seattle Department of Neighborhoods · Seattle Department of Neighborhoods · United States
シアトル市P-Patchコミュニティガーデンプログラムの歴史を市の近隣局が解説するページ。1970年にピカルド農場で始まった活動が1973年の市による農場買収と1974年の市営プログラム正式承認を経て発展し、2023年時点で90カ所のガーデン・3,500世帯以上の参加者を抱えるまでに拡大した経緯を年表で示す。2022年実績として、低所得ガーデナー858名への補助金66,152ドルの支給、寄付野菜44,403ポンドなどの数字も記載されている。
コミュニティ政策福祉農場や菜園はあちこちにあるのに食べるものがない?ソルトレイクシティのフードアパルトヘイトへの批判地理学的アプローチ
2022Joyner L., Yagüe B., Cachelin A., Rose J. · Journal of Agriculture, Food Systems, and Community Development 11(2):67-88 · United States
ソルトレイクシティ西部のCSA農場と連携し、政治経済的慣行が生んだフードアパルトヘイトを検証。都市農業による食の公正への貢献と限界を批判的に論じる。
福祉コミュニティ政策食料主権の手段としての都市農業?ボルチモア市住民の事例研究
2022Colson-Fearon B., Versey H. S. · International Journal of Environmental Research and Public Health 19(19):12752 · United States
ボルチモア市の都市農業を食料不安への持続可能な対策として検討。社会関係資本の構築、健康的な食習慣の教育、手頃な食料の分配を通じ食料主権に寄与しうると示す。
コミュニティ福祉健康都市農業はジェントリフィケーションを招くか?
2022Hawes J. K., Gounaridis D., Newell J. P. · Landscape and Urban Planning 225:104447 · United States
デトロイトの都市菜園とジェントリフィケーションの関連を分析。両者に明確な関連は見られないが、菜園は若く裕福で教育水準の高い、黒人の少ない地区に偏在し、不平等が残ると指摘する。
政策コミュニティ福祉保育施設のハンズオン菜園介入:ノースカロライナ州3–5歳児の果物・野菜の識別・嗜好・摂取への効果に関するRCT
2022Cosco N.G., Wells N.M., Zhang D., Goodell L.S., Monsur M., Xu T., Moore R.C. · Frontiers in Psychology, 13:993637 · United States (North Carolina)
Wake郡の保育施設15園を対象に、Preventing Obesity by Design(POD)菜園介入のRCT。待機対照デザインで、ハンズオン菜園が3–5歳児の果物・野菜の識別・嗜好・スナック時摂取に与える効果を検証。保育園・幼稚園相当施設と研究チームの連携による屋外学習環境づくりの有効性を示した。
食育健康コミュニティザンビアの「新常態」の内側:COVID-19の政策対応と都市周辺部の食料安全保障および生計への影響
2022Manda S. · Journal of International Development · Zambia (Chongwe, Lusaka)
本研究はルサカ近郊チョングウェ地区の都市周辺部小規模農家を対象に、COVID-19の政策対応が食料システムと生計に与えた影響を調査した。厳格なロックダウンを回避した「新常態」政策にもかかわらず、農業投入財の価格上昇や市場アクセスの制限により、約53%の農家が農業収入ゼロを経験した。組織的な農業支援の欠如が脆弱性を深刻化させたことが明らかになった。
政策経済コミュニティ福祉落穂拾い(グリーニング)プログラムと余剰農産物の食料救済団体への寄付に対する農家の態度と認識
2022Harvey S., Mount P., Valentine H., Gibson C. · Journal of Agriculture, Food Systems, and Community Development, 11(4):233-247 · United States
米国カンザスシティ都市圏で、落穂拾い(グリーニング)に参加した農家12名と未参加の農家16名に聞き取りを行い、余剰農産物をフードバンクなど食料救済団体へ寄付する動機と障壁を分析した研究。参加者は寄付の手軽さと税制優遇を利点として挙げ、未参加者は安全性や責任の懸念を課題とした。都市・近郊農地の余剰を地域の食料支援に回すフードレスキューの設計に示唆を与える。
食品ロスコミュニティ福祉経済米国都市部では誰がどのように菜園を営むか:都市農業アクションプランにおける社会的公正への示唆
2022Kirti Das, Anu Ramaswami · Frontiers in Sustainable Food Systems · United States
米国3都市の代表的な都市住民6,152名を対象とした調査に基づき、本論文は農的菜園実践者の人口統計と実践される菜園の類型を分析している。コミュニティ菜園への参加(約2%)は世帯菜園(約27%)より少なく、世帯菜園は高所得の白人男性が中心である一方、コミュニティ菜園はより多様だが参加率が低く便益が拡大しにくいことを見出し、公平な都市農業の設計には「誰がどのように菜園を営むか」に関するデータが必要だと強調している。
コミュニティ政策『都市の土地の最善最高の利用』:フィラデルフィアとシカゴにおける都市農業の価値づけ
2022Domenic Vitiello · Journal of Agriculture, Food Systems, and Community Development · United States
本稿は混合研究法により、1990年代以降のフィラデルフィアとシカゴにおける都市農業の実践・支援・政策の変遷を跡づけ、農業や園芸を公共財として扱う都市と、経済的・再開発的利益を引き出そうとする都市を対比する。両都市とも著名な都市農業の拠点となったが、シカゴが都市農業を次第に公共財として扱ったのに対し、フィラデルフィアでの位置づけは争点化し不安定なままだったとする。
政策経済コミュニティ地域資源の持続可能な利用により、都市農業は食料を超えたコミュニティの便益をもたらす
2022María Teresa Gómez-Villarino, Teresa Briz · California Agriculture · United States (Berkeley)
本研究は、カリフォルニア州バークレーとスペインのマドリードの都市菜園を対象に、地域資源・投入物の効率的で持続可能な利用というアグロエコロジーの原則がどのように実践されているかを調べた。良好な生態学的実践を行う菜園は、社交の場といった文化的サービスを含む幅広い生態系サービスを提供し、国連の持続可能な開発目標に貢献するモデル都市農業拠点となりうると報告している。
コミュニティ有機資源循環生物多様性園芸家への手厚い資源提供を行うコミュニティガーデン・プログラムにおける利用度の定量化
2022Alexandra Niedzwiecki, Norah Kates, Sally Brown, Kristen McIvor · Urban Agriculture & Regional Food Systems · United States (Tacoma)
本研究は、ワシントン州タコマおよびピアース郡の非営利プログラム「ハーベスト・ピアース・カウンティ」(土地・土壌検査・清浄土・堆肥・水・教育を園芸家に提供)に属する66のコミュニティガーデン(1,960区画)を調査した。プログラム全体でガーデンはよく利用されており(0〜3の尺度で平均利用強度2.26)、大きなガーデンや大きな区画ほど集中的に利用され、所得・人口密度・人種構成を問わず分布していたことから、この資源提供モデルは包摂的であると示唆される。
コミュニティコンポストコミュニティガーデンに対する態度と認識:私たちの近隣にその居場所をつくる
2022Sinan Kordon, Patrick A. Miller, Cermetrius L. Bohannon · Land · United States (Roanoke)
本研究は、バージニア州ローノークで景観評価型アンケートを用い、4つのグループ(コミュニティ園芸家、コミュニティ兼家庭園芸家、家庭園芸家、非園芸家)のコミュニティガーデンに対する態度と認識を調査した。嗜好に重要な7つの次元(集いと座席、境界のある/ない区画、焦点、ガーデン入口、雑然とした空間、堆肥施設)が特定され、「集いと座席」を除く全次元でグループ間に有意差が見られ、対立を減らしガーデンの長期存続を支える設計提言を導いた。
コミュニティ政策ジェントリフィケーションのただ中で——セントポールの歴史的地区ロンドにおける黒人の食料主権と土地との親密性
2022Parvathy Binoy · Human Geography · United States (Saint Paul)
本稿は、セントポールの歴史的な黒人地区ロンドにあるアウロラ・セント・アンソニー・ピース・ガーデンに関する民族誌的・視覚的記録に基づく。ロンドの高齢者が主導する共同体「アーバン・ファーマー・ガーデン・アライアンス」とこのコミュニティガーデンが、ジェントリフィケーションのなかで黒人の食料主権と、土地・食との集合的な親密性を回復しようとしていると論じる。
コミュニティ政策ポストサバーブの庭——オレンジ郡におけるコミュニティガーデンのガバナンスとエートス
2022Eiji Toda, Edward Lowe · Journal of Agriculture, Food Systems, and Community Development · United States (Orange County, California)
本研究は、カリフォルニア州南オレンジ郡のコミュニティガーデン6事例を対象に、ガーデンのガバナンスと包括的なエートス(気風)がどのように形成されるかを検討した。ガーデンは「アナーキー型」「民主型」「企業型」の3つのガバナンス様式のいずれかを示し、コミュニティ志向と個人志向という2つの価値枠組みが見られ、ポストサバーブ地域の課題に応答しうると論じている。
コミュニティ政策地域支援型農業(CSA)、人的資本、そして地域の健康
2022Celina L. Martinez, Daisy Rosero, Tammy Thomas, Francisco Soto Mas · Health Promotion Practice · United States (New Mexico)
本研究は、地域支援型農業(CSA)が人的資本の形成や健康の社会的決定要因への対応にどのように寄与するかを、米ニューメキシコ州中北部で質的に調査した(13のCSAを目的的に抽出し8件が回答)。回答したCSAは、研修、雇用創出、教育、健康的な食へのアクセス、食料安全保障、健康教育、社会的つながり、フードジャスティスといった活動を報告した。著者らは、公衆衛生分野がCSAを支援し、その健康・社会的便益に関する根拠を蓄積すべきだと主張している。
コミュニティ健康経済物理的に離れても社会的につながる:COVID-19パンデミック下のコミュニティガーデニングにみる社会的レジリエンスの教訓
2022· Landscape and Urban Planning · Canada (Edmonton)
エドモントンの90のコミュニティガーデンを対象にした調査。参加者はポットラックや収穫祭、ワークビーといった社会的イベントの喪失を惜しみつつ、菜園が危機下の社会的レジリエンスを支えたことを報告した。
コミュニティ健康