研究・論文
市民の都市農業・食育・コンポスト・福祉などに関する研究や報告書を集めています。
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批判的・否定的知見
7849 件(76 / 314)
社会関係資本が都市農業プログラムの成功に与える影響——スマラン市ダリア農民グループの事例
2024Aliifa Jenica Athaya Natama, Kadhung Prayoga, Siwi Gayatri · Agrisocionomics Jurnal Sosial Ekonomi Pertanian · Indonesia
インドネシア・スマラン市のダリア農民グループを対象に、社会関係資本が都市農業の成功に果たす役割を重回帰分析で検証した研究(調査期間2023年12月~2024年1月)。規範(メンバー向け標準作業手順の確立)が都市農業の成功を支える重要な要因である一方、信頼とネットワークの影響は小さく、都市農業の成否は対人関係よりも運営管理と知識に依存することが示された。ダリア農民グループへの提言として、規範強化(デジタルネットワーク強化、メンター制度、社会活動の組織化、外部提携、報酬制度の導入)が挙げられている。
コミュニティ政策福祉舞台設定——都市農業、公共空間、そして人間のウェルビーイング
2024Beata Sirowy, Deni Ruggeri · The Geojournal library · Global
都市農業研究に関する書籍の序章にあたる編者による総説。都市農業への参加機会を都市住民の全ての層に広く、かつ自宅の近くで利用可能にすることが最大の効果を得る条件だと論じている。都心の密集地域では土地が乏しく地価も高いため、既存または計画中の公共空間に都市農業を組み込むことが、この目標を達成する最も現実的な戦略だとしている。本書は公共空間における都市農業の統合について、ウェルビーイングへの影響、デザイン、組織運営、教育的文脈、都市計画上の側面に関する理論的・実践的な知見を提供することを目的としている。
コミュニティ健康政策生産性庭園(キンタル・プロドゥティーヴォ)――低所得都市住民の食料安全保障と所得創出への一手段
2024K. O. das G. DIAS, M. C. UZEDA, A. C. A. [UNESP] Alves, M. dos S. F. R. de AZEVEDO · LA Referencia (Red Federada de Repositorios Institucionales de Publicaciones Científicas) · Brazil
ブラジル・リオデジャネイロ州セロペジカ市の農業生態学実験農場「Fazendinha Agroecológica km 47」(エンブラパ、UFRRJ、PESAGRO-Rioの共同運営)で、2021年半ばに400㎡の「生産性庭園(キンタル・プロドゥティーヴォ)」が整備された。野菜、非慣行食用植物(PANC)、果樹、一年生作物、採卵鶏の4区画からなり、2021年の6か月間の食料生産実績は、健康で多様な食事の提供と余剰分の販売による家計への追加収入という形で、食料不安への対策としての可能性を示した。
コミュニティ食料主権・社会正義経済インドネシア・ウェドロ村における高齢者の健康とウェルネスのエンパワーメント
2024Syamsudduha Syahrorini, Andriani Eko Prihatiningrum, Denny Irawan, Yanik Purwanti, Agus Hayatal Falah, Shaza Dyah Ayuni, Akhmad Mulyadi, Andika Wahyu Nugraha, Fajrian Moch Bintang · Community Empowerment · Indonesia
インドネシア・ウェドロ村で実施されたこの地域貢献活動は、高齢者とポシャンドゥ(地域保健ポスト)の担い手を対象とし、糖尿病・高血圧・体温関連の問題が最も多い健康課題であった。自主的な健康チェックができるよう教育・訓練を行うとともに、代替医薬品源としての有機植物栽培を目的とした都市農業訓練とアウトリーチ活動を組み合わせて実施した。活動の結果、高齢者の間で代表的な代謝性疾患への意識が高まったとされ、都市農業訓練は高齢者に喜びをもたらし、活動量と生産性の向上を通じて健康の改善を促したと報告されているが、実測による健康データの前後比較は示されていない。
高齢者健康コミュニティ私たちの都市、私たちの農地:気候ストレス下における都市世帯の都市農業参加の社会経済的決定要因
2024Godwin K. Naazie, Isaac Agyemang, Anthony Mwinilanaa Tampah-Naah · Heliyon · Ghana
ガーナの都市部362世帯を対象に、気候変動下での都市農業参加に影響する社会経済要因を、記述統計・カイ二乗検定・二項ロジスティック回帰で分析した。世帯規模と世帯収入が有意水準0.05で参加を左右し、中間層・高所得層の世帯が低所得層より多く参加していた一方、土地取得は主に購入によるもので都市農業の課題となっていた。
気候変動経済コミュニティ食料主権・社会正義ガーデン・エンゲージメント:アートフルなプレイスメイキングを通じたケアの文化の育成
2024Anne Kerber, Ivana Guarrasi, Hsinhuei Sheen Chiou, Sabrina Ehmke, Kristi Oeding, Sachi Sekimoto · Health Communication · United States
米国ミネソタ州立大学マンケート校で実施されているコミュニティガーデン活動「ガーデン・エンゲージメント」を対象に、アートベースドリサーチ、プレイスベースド教育、感覚研究を援用し、アルツハイマー病および関連認知症(AD/OAD)を持つ人々へのケアを組織化・教育する代替的・経験的アプローチとして「アートフルなプレイスメイキング」の概念を論じている。知る・つくる・在るという活動の動的な相互作用が、ヘルスプロフェッション教育に新たなケアの文化をもたらし、多感覚的経験を通じたつながりを育み、個人・関係・コミュニティレベルの変容を促すと分析している。
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都市の持続可能性を再構築する——メキシコシティにおけるコミュニティ都市菜園の代替的分析
2024Xanath Bautista-Villalobos, Eduardo Garcı́a-Frapolli · Hábitat y Sociedad · Mexico
メキシコシティの2つのコミュニティ都市菜園を対象に、アグロエコロジー、社会的連帯経済、社会イノベーションの視座から分析した。菜園管理者や主要参加者とともに参加型の指標・変数を設定し、ワークショップを通じて地域住民の認識を調査した。結果、両菜園とも地域コミュニティから好意的に受け止められていたが、関与する住民の数は少なかった。評価した変数の大半は良好であった一方、水の出所と利用、コミュニティ内での収入分配、共同予算の形成といった側面は目標を達成できていなかった。
コミュニティ食料主権・社会正義近郊農業政策住まう、消費する、耕す——カタルーニャとマドリードにおけるエコソーシャル移行プロセスと取り組み
2024David Berná Serna, Sara Sama Acedo, Patricia Homs Ramírez de la Piscina · Revista Española de Sociología · Spain
現在のエコソーシャル危機を背景に、スペインの3つの事例——マドリード西部シエラおよびグレドス山系南部における新農村化と自然派ワイン生産、カタルーニャにおけるアグロエコロジー的調達システム、そしてマドリードの市自治体プログラムに組み込まれたコミュニティ都市菜園——における具体的な集合的取り組みの「エコ変革能力」を分析した。分析では、持続可能な住まい方・生産・消費の実践において行為者が直面する動機、課題、限界と、エコソーシャル移行をめぐる公的制度アジェンダとの関係に焦点を当てている。
食料主権・社会正義コミュニティ有機資源循環政策都市菜園の生産機能——イタリア・プラート市におけるソーシャルガーデンの収量と栄養価の推計
2024Ada Baldi, Nicolas Lucio Gallo, Anna Lenzi · Renewable Agriculture and Food Systems · Italy
イタリア・プラート市の「ソーシャルガーデン」(市が年金生活者や失業者個人に家庭消費用野菜栽培のために割り当てた区画)を対象に、半構造化インタビューにより人口統計・社会経済的特性、栽培作物、面積を調査した。典型的な利用者は男性、退職者、平均年齢74歳、低学歴であった。50平方メートルの区画のうち40%を耕作した場合、年間約90kgの野菜が生産されると推計され、これは成人1人分の果物・野菜必要量の約61.5%に相当する。栽培面積の80%以上をトマトが占めていた。栄養素への寄与はビタミンCとビタミンAが最も高く、カルシウムとナトリウムが最も低かった。
コミュニティ健康食料主権・社会正義福祉トレリスをデザインする
2024Emily Harris, Ilana Lowe, Lindsey Mohan, Whitney Cohen, Sara E. Severance, Terra Giotta, Carlo Albano, Jeffrey Snowden · Science and Children · United States
米国の学校菜園を舞台とした、小学3〜5年生向けのガイド付き工学学習ユニット「トレリスをデザインする(Designing Trellises)」を紹介する実践報告。児童は共通の学級目標として、学校菜園用のエンドウ豆用トレリスを2〜3基設計・研究・試作・製作・試験する活動に協働で取り組む。この過程で、質問すること、調査を計画・実行すること、解決策を設計することなど科学・工学の実践への関与を通じて、釣り合った力と釣り合わない力に関する教科の中核概念を児童自身が理解していく。ユニット終了時、教師と児童は、自分たちにとって重要な問いに答えデザインを作り出す経験を通じて、児童が強い当事者意識と誇りを抱いたと報告している。
食育コミュニティスマラン市タンジュン・マス地区における食料自立型都市村落構築のためのパートナーシップ
2024Andin Irsadi, Partaya Partaya, Abdul Jabbar · Jurnal Abdimas · Indonesia
インドネシア・スマラン市北スマラン郡タンジュン・マス村は、貧困率の高さに起因する食料不安に脆弱な地域である。貧困層は自ら生産することも購入することも十分にできないため、貧困は食料安全保障に大きな影響を及ぼしている。この状況を受け、行政と住民は農業を通じた食料の自立確保に取り組み始めたが、農地面積の制約によりその努力は妨げられている。本地域貢献プログラムは、タンジュン・マスにおける食料自立の達成に向けて、知識と技能の提供および都市農業施設の整備を目的としている。手法として、社会化、カウンセリング、普及啓発、研修、都市農業施設の整備支援が用いられた。結果、住民は都市農業への理解を得て、都市農業における技術を把握し、垂直栽培(ヴァーティカルチャー)の技能を身につけ、学習用の実演区画として垂直栽培施設が整備された。
食料主権・社会正義コミュニティ食育農業活動の場としての都市公園の整備・管理の実態と課題
2024Guolin Xu, Shigeto YANAI · Journal of The Japanese Institute of Landscape Architecture · Japan
横浜市内で市民農園を有する都市公園11か所を対象とした調査に基づき、公園管理への多様な主体・形態の参加を促す特性と、より効果的な管理のあり方を検討した。結果、管理への地域団体の関与は一部のプログラムに限られていること、多様な主体の管理参加が地域交流の促進・世代間交流の改善・公園利用の増加と結びついていたこと、コミュニティガーデンが地域住民に共同での農業活動の場を提供し地域交流と多様な主体の参加を促していたことが示された。
コミュニティ政策コミュニティ・エンパワーメント・正義の場としての学校菜園:参加型アクションリサーチ研究
2024Colleen Saxen, Yoko Miura, Alan R. Wight, Michelle A. Fleming · Educational Action Research · United States
米国中西部の小規模都市にある低所得地域を対象に、学校菜園プロジェクトを率いたコミュニティパートナーと学校スタッフの参加のもと、参加型アクションリサーチ(PAR)を用いて学校菜園の意味を探究した。フォトボイス、マッピング、インタビューを通じて参加者の視点や振り返りを収集した結果、コミュニティ、エンパワーメント、正義という3つの主要テーマが浮かび上がった。学校菜園は、内容知識や身体的健康、生態系保護といった従来の評価指標を超えた、深い可能性を参加者に経験させるものであったとしている。
コミュニティ食育ウガンダ・ムババラ市の都市農家向け灰色水を用いた水耕野菜栽培とコリウスの浄化能力の探究
2024Jane Yatuha, Justus Asasira, Godfrey Begumisa, Pascal Amandu · East African Journal of Science Technology and Innovation · Sub-Saharan Africa
ウガンダ・ムババラ市で、2023年7月から9月にかけて8週間の実験を行い、灰色水(生活排水)を水耕栽培の培養液として利用した野菜(ブロッコリー、ワケギ、レタス)の栽培可能性と、観葉植物コリウスによる灰色水の浄化能力を検証した。灰色水はレストランの厨房から採取し、灰色水のみ、灰色水+NPK肥料、水道水のみ、水道水+NPK肥料の4処理区を各3反復で設定し、pH・電気伝導度・全溶存固形分・水温・濁度・硝酸塩・リン酸塩、および草丈・葉数、糞便性大腸菌群・重金属を測定した。全ての野菜が生存したが処理区間で収量に有意差があり、レタスは灰色水+NPK区を除く3処理区で最高の生産量を示し(分散分析 F(3,56)=2.970、p=0.039)、ワケギは灰色水+NPK区で他区と有意に異なり最も生育した(F(3,56)=3.328、p=0.026)。灰色水処理区では電気伝導度・全溶存固形分が極端な値(1001.38 µS/cm・502ppm、982.38 µS/cm・490.75ppm)を示し他処理区と有意に異なった(p=0.000)が、野菜組織から糞便性大腸菌群は検出されなかった。コリウスは全溶存固形分・電気伝導度を段階的に低下させ、灰色水から重金属を吸収する能力を示した。
DIY・自作コミュニティ健康南アフリカ・クワズール・ナタール州における小規模都市部野菜農家の市場参加水準の決定要因
2024P.N. Ndlovu, Joyce Chitja, Temitope O. Ojo · Cogent Food & Agriculture · South Africa
南アフリカ・クワズール・ナタール州ソバントゥおよびムポポメニのタウンシップ地域を対象に、構造化質問票を用いた多段階抽出により小規模都市部野菜農家156戸を調査し、記述統計とダブルハードルモデルにより市場参加の決定要因と参加水準を分析した。156戸のうち127戸が市場参加者、29戸が非参加者であった。ロジスティックモデルでは、市場参加の意思決定に信用利用(p=0.004)、無償投入財(p=0.096)、市場情報へのアクセス(p=0.001)、労働力へのアクセス(p=0.014)、スマートフォン所有(p=0.083)が有意に影響していた。分数応答モデルでは、市場参加の水準に年齢(p=0.093)、協同組合加入(p=0.002)、道路状況(p=0.001)、貯蔵施設(p=0.016)、投入財市場までの距離(p=0.069)が有意に影響していた。
コミュニティ経済都市固形分別廃棄物由来の有機廃棄物スラリーを原料とするバイオ炭生産のための圧力制御型熱分解炉の技術革新
2024Utis Sutisna, Junun Sartohadi, Nur Ainun Harlin Jennie Pulungan, Ngadisih Ngadisih, YB Praharto, Nurul Hidayati · Prosiding Seminar Hasil Penelitian dan Pengabdian Kepada Masyarakat · Indonesia
インドネシアで開発された熱分解炉技術(Prosiding Seminar Hasil Penelitian dan Pengabdian Kepada Masyarakat、2024年)は、分別収集された都市有機廃棄物スラリーを、自己完結型の圧力制御システムと内部利用される熱分解ガスによる燃料供給、自動温度制御のもとで400~500℃で処理し、バイオ炭へ転換する。土壌サンプルを用いた性能試験の結果、得られたバイオ炭は固定炭素含有率65~70%を有し、土壌改良材として適した物理的・化学的安定性を示した。土壌の陽イオン交換容量を最大30%、土壌水分を対照区(バイオ炭無添加)と比較して最大15%増加させた。この炉は有機廃棄物の体積を50%削減し、得られたバイオ炭は都市農業における土壌肥沃度と生産性を改善したと報告されている。
有機資源循環コンポストコミュニティスペイン・バリャドリッド市の都市貸農園における食料生産・冷却効果・利用者の認識評価
2024Francisco Tomatis, Monika Egerer, Luis Manuel Navas-Gracia · Horticulturae · Spain
スペイン・バリャドリッド市の都市貸農園4か所・区画12か所を対象とした研究(Horticulturae、2024年)は、食料生産、冷却効果、利用者の視点を検証した。作物選択は限られた区画面積に合わせて季節ごとに変化しつつ、グローバルノースの都市園芸の傾向に沿ったものであった。菜園は都市の灰色空間と比べて安定した低い気温を提供したが、その冷却効果は都市公園ほど大きくはなく、夏季に最も顕著であった。区画レベルでは、地表を覆う作物の被覆が大きいほど冷却効果が強かった一方、作物の量や多様性と冷却効果との相関は弱かった。利用者へのアンケートでは、気候変動への意識と、それが作物・健康・都市に直接的な脅威を及ぼすという認識、および将来の作物栽培・菜園発展のための水の確保への懸念が示された。
コミュニティ生物多様性気候変動街路と広場の都市園芸の歴史的起源
2024M. S. (Mahmudova) Abdusattorovna · Neliti · Global
論文(Neliti、2024年)は、ティムール朝時代における文化・レクリエーション公園、ランドスケープデザイン、公共公園の建設の結果として、道路・沿道・建築物の建設が大規模に行われたという事実についての調査を行ったと述べる。抄録にはデータ・手法・具体的な知見についてのそれ以上の記述はない。
コミュニティ政策生産的な都市景観における循環の再発見
2024Akiko Iida, Toru Terada, Kazuaki Tsuchiya, Tadashi Yamaguchi, Makoto Yokohari · Urban forestry & urban greening · Japan
都市と農地が歴史的に混在する東京を事例に、都市林から出る緑の廃棄物(green waste)を活用したコミュニティスケールの堆肥化システムが商業的都市農業にどう組み込まれているかを、郵送アンケートと都市農家への対面半構造化インタビューにより調査した研究(2024年、日本)。プロの都市農家のおよそ3分の1が、特に落ち葉を中心とした緑の廃棄物から堆肥を作り土壌改良に利用しており、自身の所有林だけでなく数キロメートル圏内の公園・学校・神社など近隣の都市林にまで落ち葉の調達先を広げて都市化に適応してきたことが分かった。都市化が景観そのものを大きく変えた一方で、農家はこの無形のシステムを仕組みを作り替えながら数百年にわたり継承してきたが、農家がこの仕組みを維持している主な動機は環境面ではなく経済的な理由であるとされた。著者らは、廃棄物の供給地と需要地が地理的に近接する生産的な都市景観では分散型堆肥化システムが有効に機能しうるとし、都市農業を通じた廃棄物リサイクルの拡大方法についてさらなる研究が必要としている。
有機資源循環コンポストコミュニティ近郊農業実践倫理——米国都市における都市農業
2024Nick DeMarsh, Alfonso Morales · Urban agriculture · United States
米国の都市を対象に、都市農業が現行の都市・食料システムの現状に異議を唱える機会を提供するとし、都市の人口増加と密度上昇が都市農業にもたらす機会と課題を、ハウとカウフマンの「手段と目的」の倫理的枠組みを用いて論じる論文(2024年)。倫理的な「目的」(経済的成果などのアウトカム)が「手段」やプロセスへの配慮を押しのけがちである点を踏まえ、手段と目的の両方を重視するこの枠組みを用いて、都市農業倫理を捉える3つの鍵となる論点(場所に基づく歴史的視座、都市と地域を結ぶ橋渡し、健全な社会生態システムを再構想するための入れ子構造的アプローチ)を提示する。都市農業の実践者は、都市の場所と農業プロセスの歴史を、国家的な歴史過程の帰結として、また現在の場所固有の文脈、および将来の目標・志向との関係の両面から理解する必要があるとする。都市農業の環境的に持続可能な未来への貢献は、食料の生産と消費が人間生活の不可欠な要素であるという認識に根差すとし、都市農業の変革的な潜在力は、日常生活に影響を与える都市システムと食料システムという2つのシステムにおいて重要な役割を果たす点に由来するとする。ただし、こうした変化の可能性は都市農業の実践を通じた変化が不可避であることを意味せず、変化には都市農業の参加者・利害関係者が自らの実践と期待を批判的に検討することが求められるとしている。
政策コミュニティ食料主権・社会正義近接性を軸とした周辺都市空間における食料生産・消費 — 農業食料システム形成の社会的・領域的プロセス
2024Héctor Ávila Sánchez · Investigaciones Geográficas Boletín del Instituto de Geografía · Global
周辺都市化(periurbanización)が現代社会で最も動態的な領域的現象の一つであるとの立場から、大都市圏システムの一部をなす周辺都市の食料生産空間の再編を、社会的・領域的なプロセスとして論じる理論的考察。近接性、短い流通経路の定着、都市・地域フードシステムや「農業公園(parques agrarios)」といった新たな領域的形態の確立に言及し、特に欧州では農業公園が都市圏化の進行に対抗する領域的イノベーションとして機能していると位置づける。フードハブ、協同組合型スーパー、共同作業所など協同組合的基盤に立つ形態の広がりや、社会運動・生産者団体・行政機関が周辺都市のガバナンス形成に果たす役割を、連帯経済と社会正義の観点から検討する。
都市農村連携政策経済コミュニティ米国とスペインにおける食料不安に関連する脆弱性・危険性・リスクの研究
2024Iman Mamnoon · GeoFocus Revista Internacional de Ciencia y Tecnología de la Información Geográfica · Global
地理情報システム(GIS)を用いたリスク評価手法により、都市内で最も脆弱な人口が直面する食料不安を定量的に測定する尺度を開発した研究。リスクは社会的脆弱性と危険性(食料流通へのアクセス困難度)を組み合わせて算出し、米国ワシントンD.C.南東地区とスペイン・マドリードのプエンテ・デ・バジェカス地区の2事例に適用した。社会的脆弱性指数は平均所得・教育水準・失業率・年齢のデータから、危険性値はスーパーマーケットへの近接性から算出した。分析の結果、両地区で緊急の介入措置を必要とする高リスク地域が特定された。プエンテ・デ・バジェカスでは、国勢調査区07913143が食料不安の高リスクホットスポットとして特定され(社会的脆弱性指数1.646495、範囲0.901〜3.223、リスク値3、範囲3〜10)、ワシントンD.C.南東地区では国勢調査区7601・7605が高リスク地域として選定された(社会的脆弱性指数それぞれ2.221・1.737、範囲1.040〜3.525、リスク値それぞれ2・5、範囲0〜10)。両地区とも住宅地と商業地を組み合わせたエリアが全般的に不足していること、公共交通の供給に限界があることも指摘されている。
公平性・立ち退き政策コミュニティ福祉持続可能性の耕作 — ニュージャージー州のフードデザートにおける都市農業の障壁に関する定量的研究
2024Tatiana Hlinka · Journal of Student Research · United States
米国ニュージャージー州では50のフードデザート地域が、都市部・農村部を通じて最も深刻な食料不安に直面している。本研究は、ニュージャージー州の都市フードデザートにおける都市農業の導入を妨げる9つの障壁を特定した。食料システムの専門家への調査とGIS(地理情報システム)による空間分析を組み合わせた逐次的定量分析を実施し、ニュージャージー州の都市農業団体・関係者と連携して、都市農業事業の拡大にとって最も一般的に挙げられる障壁が資金不足であることを明らかにした。GISに基づく空間分析では、優先度の高い障壁は地域によって異なる一方、対象となったすべての団体が、活動する地域が低所得か高所得かにかかわらず、資金あるいは資金へのアクセスの不足を重大な障壁として挙げていた。政策立案者は、ニュージャージー州の都市フードデザートにおける都市農業団体の果たす役割を再評価すべきだとしている。
制度・ガバナンスの不全コミュニティ政策食料主権・社会正義福祉健康タンガ・ムベヤ・モシのマスタープラン(1973-1975年)にみるガーデンシティ計画と北欧の(脱)植民地的両義性
2024Essi Lamberg · The Journal of Architecture · Africa
フィンランドの技術協力によって策定されたタンザニアのタンガ・ムベヤ・モシの3都市のマスタープラン(1973-1975年)を事例分析し、北欧諸国を中立的・善意の対外援助主体とみなす従来の語りに異議を唱えた。フィンランド人専門家は、植民地時代の遺産・脱植民地化政策・新植民地主義的実践が交錯する両義的な環境のもとで活動し、郊外化・近隣住区モデル・都市園芸といった移動する概念をタンザニアの脱植民地化政策の言葉に翻訳する計画的な語法を発展させた。これら3都市のマスタープランは、かつて白人欧州エリートに限定されていた計画原則を都市人口全体に拡張し、ウジャマー(社会主義的協同)政策を推進するためにガーデンシティ計画の考え方を用いた。
コミュニティ政策都市農村連携食育コンポストバーン型畜舎における固形・液体廃棄物の特性評価
2024Victor Crespo de Oliveira, Leonardo França da Silva, Érika Manuela Gonçalves Lopes, Ana Carolina Chaves Dourado, Matheus Mendes Reis, Bruna Nogueira Rezende, Letícia Duron Cury, Cássio Furtado Lima, Fabiane de Fátima Maciel, Silvana Ferreira Bicalho, Ariadna Faria Vieira · · Europe
世界人口の増加に伴い都市と土壌の持続可能性、気候変動、食料アクセス・安全保障への懸念が高まる中、多くの都市部が食料供給インフラの課題に直面しているとしたうえで、都市農業が貧困世帯の食料安全保障向上と収入創出に役立ちうる一方、従来型農業は土壌浸食や土壌・地下水汚染を招き、気候変動は動物の生活環を乱し種の絶滅を通じて人間や他の生物の食料入手可能性を大きく低下させると位置づける。この文脈でアクアポニックス(養殖と水耕栽培の統合)を都市農業における植物栽培と魚の安全な生産を統合する手法と位置づけ、ポルト工科大学工学校(ISEP)に最適化されたアクアポニックスシステムを構築・設置するプロジェクトを報告している。このソイルレス型垂直菜園は約2,000リットルの水を収容する水槽2基を用いて3階層にまたがって構築され、3つのプランターボックスと120以上の野菜栽培用スペースを備える。あわせて、バイオリソース工学・化学工学・生体医工学・電気電子工学・機械工学・情報工学の学生が参加する教育活動も実施された。
コミュニティ食育有機資源循環