研究・論文
市民の都市農業・食育・コンポスト・福祉などに関する研究や報告書を集めています。
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批判的・否定的知見
11922 件(26 / 477)
学校菜園と栄養教育は学校給食の摂取量増加と関連する:パイロット研究
2026Kerstetter K., Roberts K. J., Trent R., Koch P. A., Casey C., De Jesus-Martin M., Trinidad A., Mampara J., Bacon B. · Journal of Nutrition Education and Behavior · 米国
学校菜園と栄養教育を組み合わせた多要素の介入が、実際に給食を食べる量を増やすかどうかを検証したパイロット研究。公立小学校の1〜5年生を対象に、貧困率の高い介入校と低い介入校をそれぞれ対照校と組み合わせたペア設計をとり、SOCAFE(カフェテリアでの食事摂取の観察評価法)を用いて13日間・28回の昼食時間にわたり直接観察した。摂取量は主菜とサイドサラダをそれぞれ何%食べたかで定義した。介入校の児童は主菜の47.5%、主菜+サイドサラダの44.1%を食べたのに対し、対照校ではそれぞれ34.5%、31.2%だった。調整後の解析でも 0.13 ポーション単位(P = 0.006)および 0.11 ポーション単位(P = 0.01)多く食べており、ペアごとの交互作用は有意でなかった。著者らはクラスターランダム化比較試験の必要性を指摘している。
食育健康エディンバラの送粉者・生息地調査報告(2025年)
2026Nicholas Balfour, Johnstone Caitlyn, Emma Bush · Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) · United Kingdom
英国エディンバラ中心部の緑地31か所(市民農園、公共庭園、墓地、屋上庭園を含む)を2025年に調査し、送粉者の多様性と資源の利用可能性を評価した。送粉者群集はマルハナバチ(45%)とセイヨウミツバチ(26%)が優占するジェネラリスト型で、チョウ・ガ・甲虫は著しく少なかった。半自然地、市民農園、墓地は在来植生と豊かな花資源により、高い送粉者多様性を維持していた。植物群集の3分の2は外来の園芸種が占めていたが、記録された植物種の87%は送粉者に訪花されており、最も幅広い送粉者分類群を引き寄せた植物種3種はいずれも在来種であった。
送粉者・ミツバチ生物多様性持続可能な環境ソリューションとしての都市農業展開におけるデジタルコミュニケーション戦略
2026Dina Oktavia, Yuni Amelia, Fitri Ammara Azhar, Radha Alizha, Widya Natasya, Nayla Putri Abdullah · Warta Dharmawangsa · Indonesia
インドネシア・メダン市を中心に、文献調査・観察・都市農業従事者へのインタビューを組み合わせた記述的定性研究により、有機廃棄物管理を基盤とした都市農業のビジネス機会をグリーン・アントレプレナーシップの一形態として分析した。有機廃棄物を堆肥に転換することで生産コストの削減、土壌肥沃度の向上、循環経済の実現に寄与し、都市農業は収益性があり環境に優しいビジネス機会となりうることが示された。若者はイノベーション、デジタル技術の活用、コミュニティネットワークの強化を通じてこの事業展開に戦略的な役割を果たす一方、知識・資金・政策的支援の不足が引き続き課題として残っている。
コミュニティ経済デジタル農業有機資源循環地球規模の気候変動下における世帯単位の食料・水・エネルギー安全保障のための女性教育とエンパワーメント
2026Siti Nurul Khotimah, Ihsanuddin Fadillah, Martinus · Nemui Nyimah · Indonesia
インドネシアの「Rumah Keluarga Indonesia」コミュニティに属する主婦7名を対象に、気候変動への適応戦略として食料・水・エネルギーの世帯レベルでの強靭化に関する参加型教育活動が実施された。内容は気候変動が食料生産・水・エネルギーに与える影響、家庭有機廃棄物を活用した都市農業による庭先の食料源化、太陽光パネルを用いた簡易な庭先照明などの技術紹介であった。活動後、参加者は高い関心を示し、気候変動に対する食料・水・エネルギー安全保障における女性の役割についての理解と意識が高まった。
食料主権・社会正義福祉気候変動マラン市における都市農業類型の持続可能性状況評価
2026Intan Ratri Prasundari, Setyo Tri Wahyudi, Anthon Efani, Reny Tiarantika · Agrisocionomics Jurnal Sosial Ekonomi Pertanian · Indonesia
インドネシア・マラン市に存在する7類型の都市農業(灌漑水田、天水畑作、レクリエーション活動、コミュニティガーデニング、商業的農業、農業教育観光、施設型)を対象に、持続可能性の状況を評価した研究。多次元尺度構成法とRAPHYTONツールを用い、専門家インタビュー、補助情報提供者、現地調査・観察から一次データを収集して分析した。結果、マラン市の都市農業各類型の持続可能性は概ね「中程度持続可能」の水準にあった。灌漑水田の生態的側面は「持続不可能」に分類された一方、農業教育観光型の社会的側面は最も高い「持続可能」の水準に達していた。
コミュニティ経済農民主体の手法によるサハラ以南アフリカの土壌健全性へのネイチャーベースドソリューションの影響評価
2026Dominik Bittner, Joanne U Smith, Georgios Leontidis, Grant Campbell, Jeanne Biegel, Pete Smith, Matthias Kuhnert, Rastislav Skalský, Licida M. Maria Giuliani, Abdul Walid Walid Salik, Paul Hallett, D Burslem, Getahun Yakob, Wolde Mekuria, Euan Phimister, Amare Haileslassie, Desalegn Tegegne, sarem norouzi, Heyu Chen, Cecile Gubry-Rangin, Adnan Khan · Environmental Research Letters · Sub-Saharan Africa
サハラ以南アフリカにおける土壌劣化と農家の生計制約を背景に、土壌健全性を評価する手法とネイチャーベースドソリューション(NbS)を概観したナラティブレビュー。エチオピアの事例を中心に、物理的・生物学的・化学的・機能的・サービス関連の各種土壌検査法を検討し、科学的検査は専門知識・機器・費用を要する一方、現地由来の検査法は安価かつ適用しやすいとする。労働・費用・作物生産への影響という観点からNbSを評価した結果、あらゆる農家に普遍的に適用できる単一の手法は存在せず、適合性は農家の優先事項と状況次第であると結論づける。デジタル土壌マッピングなどデータ・物理法則・知見を統合するハイブリッド手法を含む予測手法も検討されている。
コミュニティ生物多様性気候変動論文は毎週増えています
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バングラデシュ・ダッカ市における都市農業の動態——立地・パターン・プロセス
2026Ruma Chowdhury · Asian Journal of Advances in Agricultural Research · Bangladesh
バングラデシュの首都ダッカ市のバシャボ、グルシャン、パラビの3タナ(行政区)を対象とした調査で、都市農業の実態と分布パターンを検証した研究。調査の結果、野菜栽培、観賞植物、花卉栽培、鳩・鳥の飼育、酪農・ヤギ飼育など多様な形態の都市農業が存在することが確認された。多くの住民にとって都市農業は住宅や環境の美観向上を動機とする趣味であり、新鮮で無化学肥料の野菜・果物を求めて裏庭で栽培する人々もみられた。同市の農業気候条件は花卉・観葉植物の栽培に適しており、花卉栽培はバングラデシュにおける新興産業として位置づけられ、酪農はミルク需要の高まりを背景にあらゆる行政区で一般的にみられるようになっているとされる。
コミュニティ経済都市の持続可能性に向けた工学的応用――サンパウロのコミュニティガーデンにおける雨水利用・灌漑自動化システム
2026Ana Paula Branco do Nascimento, Rafael Silva de Araújo, Thais Reis Rocha, Ramoel Serafini · Revista Nacional de Gerenciamento de Cidades · Brazil
ブラジル・サンパウロ市東部地域のコミュニティガーデン「オルタ・ダス・フローレス」(不透水性の屋根を持つ施設内)を対象に、ボランティアによる手動灌漑への依存を減らし持続可能な水管理を実現するための雨水集水・灌漑自動化システムを、文献・技術調査、現場測定、水理効率試験、部品調整を経て設計・実装した応用研究である。結果として、システムは技術的・運用的に実現可能であることが確認され、安定した給水を確保しつつ手作業の負担を減らし、現場評価を通じて水理面の改善と自動化の調整が可能になった。
コミュニティ気候変動DIY・自作高容積率既存地資源の総合的活用と改善設計メカニズムに関する考察
2026Yun Wu · Architecture Engineering and Science · China
都市既存ストックの更新が加速する中国の文脈において、高容積率の土地開発が抱える「量」と「質」の間の矛盾――容積率の硬直的な制約が採光不足・動線の混乱・公共空間の不足といった物理的障壁を生む一方、質の高い居住環境への需要が空間の開放性・生態性・社会的包摂性への要求を高めているという課題――に焦点を当てた論考である。地下空間の複合利用、屋上庭園による生態補償、街区をまたぐ立体回廊といった設計戦略を、権利区分の調整・全過程のコスト管理・政策手法の革新と組み合わせ、「物理的最適化・権利調整・経済的均衡」からなる総合的改善メカニズムを構築し、高密度都市開発における既存地の質・効率向上のために再現可能な設計パラダイムと意思決定の参照枠を提供するとしている。
政策コミュニティ垂直農法とエネルギー市場の統合:機会と課題
2026Akhil S Anand, Hannes Pravida, Fredrik Fossan-Waage, Tormod Skorpe Skjolden, Giulia Robbiani, Younes Zahraoui, Emil Wolff Anthony, Jayaprakash Rajasekharan, Sissel Torre, Knut Asbjørn Solhaug, Sebastien Gros · Frontiers in Horticulture · Global
制御環境型農業である垂直農法(バーティカルファーミング)について、エネルギー市場との統合の可能性と課題を検討した論文。垂直農法は高い初期投資・運用コスト、とりわけ大きなエネルギー支出により経済的成立性が制約されていることを指摘した上で、再生可能エネルギー統合が進む電力市場(前日市場・調整力市場・柔軟性市場)に垂直農場が参加し、照明・空調のエネルギー使用を市場信号に応じて調整することで運用コスト削減や追加収益の可能性を論じた。一方で、変動照明に対する植物の応答についての理解不足を実装上の重大な障壁として特定し、小規模な実験室実験によってこの統合の課題を示した。
事業採算・継続性経済気候変動デジタル農業簡易な種子プライミング処理によるレタス・ハクサイ種子の発芽性能と活力の向上
2026Rofiqoh Purnama Ria, Fitra Fadhilah Rizar, DEDIK BUDAINTA, Marlin Sefrila, Fitra Gustiar · Asian Journal of Agriculture · Indonesia
インドネシア・スリウィジャヤ大学種子技術研究室で2025年9月に実施された実験研究で、都市農業向けに市販されている葉物野菜4種(バターヘッドレタス、レッドロメインレタス、グリーンレタス、ハクサイ)の種子を対象に、簡易な種子プライミング処理が発芽性能に与える影響を要因配置完全無作為化デザインで検証した。無処理対照、60℃温水15分、60%エシャロット抽出液30分、70%ココナッツウォーター30分の4処理を施し、48時間にわたり6時間ごとに発芽率を記録した。温水処理は発芽50%到達時間(T50)を対照の36.69時間から18.48時間に、エシャロット抽出液処理は19.38時間に短縮し、発芽が速まることが示された。ただし、この結果は圃場・育苗条件下での検証がまだ必要とされている。
食育有機資源循環マレエール地区の都市農業成果物のマーケティング・販売支援を目的としたEコマースアプリケーションの開発(インドネシア・バンドン)
2026Muhammad Prakarsa Al Qadr Saleh, Djibran Dirgantara, Adhita Arif Setyawan · Dinasti Information and Technology · Indonesia
インドネシア・バンドン市マレエール地区の都市農業プログラム「Buruan SAE(健康・自然・経済的)」を対象に、これまで口コミと紙ベースの手作業記録に頼ってきたマーケティング・販売上の課題を解決するため、B2C型ECサイトの設計・開発を行った研究。市場浸透の不十分さ、購入希望者にとっての在庫の不確実性、野菜という腐敗しやすい商材による財務的損失リスクの高さといった課題を背景に、リスク駆動型のスパイラルモデル手法を用い、インタビュー・観察・文献調査によりデータを収集してシステムを開発した。業務プロセス分析により、商品公開、在庫管理、注文・取引、財務記録という4つの主要課題領域が特定された。研究は、構造化されたウェブベースのECシステムが流通経路を短縮し、カタログと在庫の同期を確保し、手作業記録の誤りを最小化できることを示したとしている。
コミュニティデジタル農業経済米国におけるフードパントリー主導型CSA(地域支援型農業)プログラムの予備的効果:準実験的パイロット研究
2026Ruyu Liu, Daniel Harwood, Ora Kemp, Alyson Rosenthal, Roger Figueroa, PhD, MPH, MSc · Public Health Nutrition · United States (New York City)
米国ニューヨーク市で、フードパントリーが主導し補助金付きの地域支援型農業(CSA)プログラム「Farm Share」の効果を検証した準実験的パイロット研究(追跡期間3か月)。Farm Shareは隔週で約25ポンドの新鮮な農産物を1袋5ドルで提供し、対照群はCSAを提供しない同等のフードパントリーから募集した(Farm Share群54人、対照群69人、大半がヒスパニック系・黒人/アフリカ系アメリカ人・外国生まれの女性で高校卒業以下)。追跡時の継続率は65.0%(Farm Share群33人、対照群47人)。皮膚カロテノイド値は対照群と比べFarm Share群で12ポイント増加した(喫煙状況・年齢・性別・出生地で調整、P=0.005)一方、総合健康的食事指数(HEI)は6.3ポイント低下し(P=0.031)、飽和脂肪のHEIも1.1ポイント低下した(P=0.027)。野菜・果物摂取量(P=0.25)と食料安全保障(P=0.16)の改善傾向は統計的有意ではなかった。
CSA・提携健康福祉コミュニティ農業・食料セクターにおける社会イノベーションと持続可能な起業活動の実践、および農村生産者の社会・環境レジリエンスへの寄与に関する系統的レビュー
2026Esther Reyna Molina, María Xóchitl Astudillo Miller, Yanik I. Maldonado-Astudillo, Ricardo Salazar · Discover Sustainability · Global
PRISMA 2020方法論を用いた系統的レビューで、農業・食料セクターにおける社会イノベーションと持続可能な起業活動を、農村小規模生産者と地域食料システムの社会・環境レジリエンスへの体系的対応として整理した研究。実践内容を特徴づけ、持続可能性の各次元への影響を評価し、成功要因と障壁を特定した。結果、持続可能な起業活動よりも社会イノベーションを扱う研究の方が多く、事例はヨーロッパ・アフリカ・アジア・オセアニア・南北アメリカに分布していた。取り上げられた取り組みには、社会的農業、コミュニティガーデン、包摂的なアグリビジネスモデル、女性協同組合、環境再生型のアグロエコロジー事業が含まれ、全体として社会的包摂、コミュニティのエンパワーメント、市場アクセス、所得の多様化、環境慣行の改善に肯定的な効果が報告された。促進要因としては部門横断的な協働ガバナンス、地域のリーダーシップ、異種資源を結びつける能力が挙げられ、障壁としては制度・規制枠組みの不整合、外部資金への依存、経済的目標と社会・環境的目標の間の緊張が特定された。結論として、社会イノベーションと持続可能な起業活動を組み合わせたハイブリッドな実践は、有利な制度環境に組み込まれ、公共政策と法制度に支えられている場合に、農村生産者の社会・環境レジリエンスに大きく寄与するとしている。
コミュニティ政策経済食料主権・社会正義バンクーバー都心とカルガリー郊外の住区において、緑化はジェントリファイアーをどれだけ引き寄せているか
2026Quinton J, Nesbitt L, Connolly JJT, Wyly E · Urban Studies · カナダ(バンクーバー・カルガリー)
「グリーン・ジェントリフィケーション」は、公園やコミュニティガーデンをつくることが高所得世帯の流入を招き、周縁化された住民の立ち退き・排除につながるという議論だが、緑化が本当に高所得世帯を引き寄せているのかは実証的にはほとんど検証されてこなかった、と著者らは指摘する。また従来の研究は都心の住区にほぼ限られており、郊外への転居動機として緑地への欲求がしばしば挙げられることが視野に入っていなかった。本研究はジェントリフィケーションが進んだバンクーバー都心と、カルガリー郊外の新築住区の104世帯を調査し、転入を決めたときに住区の緑量と緑地への近さがどれだけ重要だったかを、他の要因と並べて測った。結果、緑の要因は安全性・眺望・雰囲気(バンクーバーでは娯楽施設や交通の近さ)といった非緑の要因と同程度の重要性しか持たなかった。住区全体の緑量より緑地への近さのほうが重視され、郊外では私的な緑地がより重視された。緑化だけが高所得世帯を動かしているわけではないという含意である。
公平性・立ち退き政策コミュニティ経済オーストラリアの小学校で、菜園はどう使われ、誰が管理し、何で賄われているか
2026Burton M, Margerison C, Nanayakkara J, Worsley A, Booth A · BMC Nutrition · オーストラリア(全国調査+ビクトリア州)
学校菜園は食のリテラシーを高め、健康的な食と環境の健全さを促す有効な手段とされる一方、資金・時間・研修の不足で導入も活用もできない学校が多い、という問題意識から、オーストラリアの小学校で菜園が実際にどう使われ・管理され・賄われているかを調べた混合手法の研究。全国の小学校教職員111人がオンライン調査に回答し、ビクトリア州の小学校教員13人が個別インタビューを受けた。回答者の90%は菜園のある学校に勤めていたが、その使われ方と活用度合いには大きなばらつきがあった。菜園の管理・維持は多くの学校で児童と学級担任の役割であり、ボランティアに大きく依存する学校もあった。多くのプログラムは健康的な食と環境の持続可能性を主眼とし、生活技能や社会性の学びの場にもなっていたが、菜園がカリキュラムにうまく組み込まれていないという声が多かった。最大の障壁は時間と資金の不足だが、既存の地域とのつながりを活かし、コストを抑える持続的な工夫を取り入れることで踏みとどまっている学校も多い。著者らは、教員研修・管理職の支援・地域の関与・低コスト化の工夫が鍵だと結論する。
食育コミュニティエチオピアにおける都市・家庭菜園の実践 ― 課題・機会・展望のレビュー
2026Birhanu MW, Negussie ZT · The Scientific World Journal · エチオピア
2015〜2025年に発表された査読論文をPRISMAに沿って統合し、エチオピアの都市・家庭菜園の現状と課題を整理したレビュー。急速な都市化が失業と「栄養があり手の届く食料」へのアクセス低下を招くなかで、都市・家庭菜園が食料不安・栄養不良・環境劣化への実践的な対応策として立ち上がってきた、と位置づける。著者らが挙げる阻害要因は、土地と清潔な水へのアクセスの限界、女性に対するジェンダー上の障壁、技術知識の不足、普及サービスの不備、そして脆弱な制度的支援であり、これらが生産と継続を妨げている。さらに、未処理の排水を灌漑に使う慣行が広く残っており、重金属汚染と土壌媒介感染症という健康・環境上の重大なリスクを生んでいると指摘する。他方で、空いた都市の区画の活用、垂直栽培の推進、地域での種子生産といった機会は未活用のままだとする。政府の支援は近年拡大したが、実施は一貫性を欠くと結論づけ、文献自体に地理的な偏りがあることも指摘している。
制度・ガバナンスの不全健康政策食料主権・社会正義バングラデシュの屋上菜園・地上菜園の土壌は多様な薬剤耐性遺伝子プロファイルを抱えている
2026Hoque MN, Rana ML, Gilman MAA, Pramanik PK, Islam MS, Punom SA, Rahman R, Hassan J, Rahman MS, Ramasamy S, Schreinemachers P, Oliva R, Rahman MT · Environmental Monitoring and Assessment · バングラデシュ・ダッカ/ガジプール
都市農業が広がる一方で、屋上菜園・地上菜園の土壌がどれだけ薬剤耐性(AMR)の貯留槽になりうるかはほとんど分かっていない、という問題意識から行われたショットガンメタゲノム解析。ダッカの屋上菜園7、ダッカの地上菜園6、ガジプールの屋上菜園8、ガジプールの地上菜園6の計27検体を調べ、88の薬剤耐性遺伝子(ARG)を検出した。うち19(21.6%)は全地点で共通し、菜園タイプによって耐性遺伝子の構成に有意差があった(p = 0.04)。屋上の土壌は地上の土壌よりARGが多く(ダッカ屋上50、ガジプール屋上48に対し、ダッカ地上40、ガジプール地上41)、グリコペプチド耐性遺伝子が屋上ARGの62.43〜74.07%を占めて優勢だった。屋上土壌では排出ポンプ(adeF が屋上ARGの45.21%)とリボソーム保護型のオキサゾリジノン耐性遺伝子 O23S(ガジプール屋上で62.13%)も濃縮していた。逆に地上土壌では CATA(ダッカ地上で11.64%)や fosBx1(地上ARGの5.94%)のような抗菌薬を不活化する遺伝子が多かった。屋上という「清潔そうに見える」栽培環境が、必ずしも耐性遺伝子の少ない環境ではないことを示す。
汚染・食品安全健康生物多様性「うちの菜園は仲裁役だ」― ケニアの家庭菜園介入が生む影響の道筋(ALIMUS研究)
2026Agure E, Kihagi GW, Muok EMO, Sorgho R, Danquah I · Journal of Health, Population and Nutrition · ケニア・シアヤ郡
サハラ以南アフリカで家庭菜園が気候変動適応策として推進されているのを受け、ケニア・シアヤ郡で行われた家庭菜園介入について、受益者・実施者・関係者が実際に何を経験したかを聞き取った質的研究。2023年9〜11月に、関係者5人・実施者8人を対象とするフォーカスグループ2回と、受益者30人(男性5人・女性25人)への詳細面接を行い、帰納的内容分析で「想定された影響の道筋」に照らして整理した。参加者は研修内容をよく理解しており、知識を交換する機会として価値を認めていた。各世帯に合わせた菜園の作り方、有機栽培、食品の保存法を取り入れたことが、達成感・女性のエンパワメント・家庭内の平穏をもたらしたと語られた。一方で、水不足、効かない農薬、受益世帯どうしの距離の遠さが困難として挙がった。得られた便益は、収入の増加、支出の節約、食事の多様性の向上だった。介入の「効果量」ではなく、当事者が何を得たと感じているかの道筋を記述している点が、菜園プロジェクトの設計を考えるうえで参考になる。
コミュニティ福祉健康気候変動その土地に元からいる菌類の多様性を使って都市農業の土壌を回復させる
2026Florio Furno M, Tramontini M, Gaggero E, Rigoletto M, Fabbri D, Malandrino M, Calza P, Varese GC, Spina F · Applied Microbiology and Biotechnology · Europe
多環芳香族炭化水素(PAHs)は土壌に長く残り、通常の土壌回復手法では落としにくい。都市農業はさまざまな汚染源にさらされるため、この残留は「都市で作ったものは大丈夫か」という受け止められ方そのものにも響く。本研究は、都市農業に使う予定の汚染土壌に元からいる菌類を調べ、汚染物質を分解して現地の毒性を下げる微生物コンソーシアムを作ることを目指した。土壌の菌相は子嚢菌門(Ascomycota)が優占し、分離された28分類群・16属のうち Aspergillus・Scedosporium・Trichoderma・Fusarium が多かった。低分子・高分子のPAHs存在下での生育能を評価したところ、種間・種内で差が大きく、バイオサーファクタントを作る菌も見つかった。担体上で育つ能力とあわせて6株を選び、現地土壌でバイオスティミュレーション(既存菌の活性化)とバイオオーグメンテーション(菌の投入・共培養)を比較した。最良の結果は、高分子PAHsへの耐性が高い微生物コンソーシアムで得られた。土壌の慢性毒性試験ではシマミミズ(Eisenia fetida)への影響は概ね見られず、バイオスティミュレーション区でのみ毒性が44%低下した。担体には粟とカナリーシードの混合が有効だった。
有機資源循環健康生物多様性フィリピンの都市農業:課題・可能性・食料安全保障における役割
2026Liz Ignowski, John Luis Lagdameo, Liel Gonzalez, Arma Bertuso, Pepijn Schreinemachers · Urban Agriculture & Regional Food Systems 11(1) · Philippines (Quezon City, Metro Manila)
メトロマニラを構成する17市のひとつケソン市で、都市の食料生産者300人に定量調査を行い、誰が都市農業をしていて、どんな方法と技術を使い、何に困り、何を得ているかを調べた。結果は、都市農業のほとんどが小規模・自給向けで、農地を確保できた人を除けば商業化はごく限られていた。自分でつくった作物は果物と野菜へのアクセスを増やす一方で、都市農業への参加は「食が足りている」ことよりも「経済的に脆弱である」ことを反映していた。生産規模と商業化の度合いは土地へのアクセスに強く左右され、密度の高い都市部での構造的な壁になっている。著者らは、ケソン市の都市農業は都市食料システムにおける収入源というより「セーフティネット」として機能しており、同時に楽しみやストレス解消をもたらしていると結論づけ、都市の食料安全保障政策は都市生産の役割が限られていることを現実的に踏まえるべきだと述べている。
効果は限定的経済政策コミュニティ食料主権・社会正義カメルーンの都市農業はどこまで「見える」か:衛星画像と現地調査による都市農業の把握
2026Paul Emile Tchinda, Thi-Thanh-Hiên Pham · Canadian Geographies / Géographies canadiennes 70(3) · Cameroon (one large and one medium-sized city)
都市農業は多くの持続可能性の議程に載る一方、アフリカ諸国の公共政策では無視されてきた。この研究は、カメルーンの大都市と中規模都市の2都市で、多段階(市域・近隣)の地図化と半構造化インタビューを組み合わせ、都市農業を把握する手法そのものの有効性を検証した。空間分解能5mのSPOT衛星画像による地図化は、2都市の農業実践の空間分布を大づかみに理解させる。一方で、作物の種類、新しく生まれている起業的な実践、栽培の時間的な変化といった特徴は衛星画像では見えず、現地での地図化とインタビューで初めて明らかになった。批判的リモートセンシングの議論を引き継ぎ、著者らは都市農業を描き出すための方法論の枠組みを提案し、「どの調査手法を選ぶかが都市農業の理解そのものを形づくるため、都市ごとの特性を踏まえて選ぶべきだ」と論じている。
方法論への批判政策デジタル農業近郊農業食料主権・社会正義都市農業における屋上菜園の障壁と、その規定要因
2026Md. Nur Alom Sarkar Mithun, Saifur Rahman, Md. Asifur Rahman, Md. Hasan Sabit, Joseph L. Donaldson, Shonia Sheheli · Urban Agriculture & Regional Food Systems 11(1) · Bangladesh (Mymensingh — Kewatkhali and Aqua)
バングラデシュ・マイメンシンのケワトカリとアクア地区で、屋上菜園を実際にやっている住民100人を無作為に選び、2023年9〜11月に構造化面接で「何が障壁と感じられているか」を調べた研究。記述統計・順位づけ・相関係数・重回帰で分析した。結果は、全員が相当の障壁を感じていた。もっとも大きな懸念は屋上菜園に伴う技術の複雑さで、逆にもっとも小さかったのは近隣住民からの否定的な視線だった。相関分析では、年齢・屋上菜園の面積・所得・経験・普及メディアとの接触・栽培の知識が、感じている障壁の大きさと負の関係にあった(多いほど障壁を感じにくい)。重回帰では、屋上菜園の面積と知識が特に効いていた。著者らは、研究・実演・普及活動・研修を通じて住民の技能と理解を高めることが障壁を下げる道だとしている。
DIY・自作コミュニティ経済気候変動農福連携をめぐる情勢(令和8年8月)
2026· 農林水産省 農村振興局 農村政策部 都市農村交流課 · Japan
農福連携の現状・施策・事例をまとめた農林水産省の資料集。農福連携を「障害者の農業分野での活躍を通じて自信や生きがいを創出し社会参画を促す取組」と定義し、対象が高齢者・生活困窮者・ひきこもり状態にある者の就労支援や、罪を犯した者等の立ち直り支援にも拡大していると整理する。農業就業人口の推移、障害者数と雇用状況、障害者就労施設の農業参入事例を含む。
政策福祉コミュニティ再生可能燃料基準(RFS)プログラム
2026US Environmental Protection Agency (EPA) · US Environmental Protection Agency (EPA) · United States
EPAによる再生可能燃料基準(RFS)プログラムの説明ページ。2005年のエネルギー政策法で創設され、2007年のエネルギー独立・安全保障法により拡大された制度で、温室効果ガス排出削減と国内バイオ燃料部門の拡大、輸入石油依存の低減を目的とする。
政策気候変動経済